ご納棺の儀とはどういうもの?ご納棺の儀のマナーや服装とは?
ご葬儀で最初に執り行う儀式に、「ご納棺の儀」があります。「ご納棺の儀」は、お通夜式前に、ご自宅やご遺体の安置場所に運ばれた故人様をお棺に納める儀式になります。ご葬儀におけるその他の儀式と比べてしまうと語られることが少ない儀式ではありますが、故人様をお送りする大切な儀式であることに変わりはありません。
この記事では、ご葬儀における最初の儀式である「ご納棺の儀」についてご説明します。
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ご納棺の儀とは?
ご納棺の儀は、故人様を安置している蒲団からお棺に納めるための一連の儀式のことを指します。一連の儀式には、故人様の口元に水を含ませる「末期(まつご)の水」、故人様の身体を清める「湯灌(ゆかん)」、死装束への着替え、副葬品の納棺があげられます。
ご納棺の儀に立ち会える方は、基本的にご遺族やご親族となりますが、地域によっては故人様と関係が深かった知人・友人も立ち会うことがあります。
なお、ご納棺の儀は、故人様がご自宅に安置された際に執り行われます。しかし、病院や施設などで亡くなられても最近ではご自宅に戻らないというケースもあります。このような場合は、お通夜式を執り行うご葬儀会場などでご納棺の儀を執り行います。
ご納棺の儀の流れ
ご納棺の儀は、基本的に故人様のご遺体が安置されてからご親族が集まってこられるお通夜式の前までに執り行われます。したがって、遅くともお通夜式が開式する1時間前までにはご納棺の儀を終えられるように進行していきます。
それでは以下で、ご納棺の儀と呼ばれる一連の儀式がどのように執り行われるのか、そして各儀式での注意点について見ていきましょう。なお、ご納棺の儀で必要となるものに関しては最近では葬儀社が用意してくれますが、ご心配な方は事前に確認しておくとよいでしょう。
●末期(まつご)の水
末期の水は、「死に水を取る」ともいわれ、故人様の口元に水を含ませる儀式のことを指します。喪主を筆頭として故人様と血縁が近い方から順に枕元に近づき、箸の先につけた脱脂綿や筆などを水に浸してから、故人様の口元を湿らせます。ただし、宗派や地域によっては末期の水を執り行わない場合もありますので、事前に確認が必要です。
●湯灌(ゆかん)
湯灌とは、ご遺体を入浴させて洗い清めることをいいます。もしくは、簡易的にお湯やアルコールなどでご遺体を清拭(せいしき)することをいいます。故人様の身体を清めることで、現世での悩みや苦しみ、穢れを洗い流し、来世での功徳をお祈りします。
●死化粧(しにげしょう)
死化粧とは、故人様に施す化粧のことを指し、「エンゼルメイク」と呼ばれることもあります。基本的に髪型や身なりを整え、必要があれば爪を切り、男性は髭を剃り、女性は薄く化粧をします。安らかなお顔で眠っているように見える死化粧を施すことにより、生前の故人様に近づけ、ご遺族の悲しい気持ちを和らげるという役割があります。
●死装束(しにしょうぞく)の着付け
死装束とは、故人様に着せるお見送りのための衣装をいいます。仏式での一般的な死装束は、西方浄土に旅立つ旅姿である経帷子(きょうかたびら)・天冠(てんかん)・手甲(てっこう)・脚絆(きゃはん)・白足袋(しろたび)・草鞋(わらじ)・を身につけます。さらに、三途の川を渡るための六文銭(を模した紙)を頭陀袋(ずだぶくろ)に入れ、杖を持たせます。
なお、最近は生前故人様が愛用していたスーツやドレスのほかにも、旅立ちを美しく着飾るフューネラルドレスなどを死装束として選ばれる方も多くなってきています。
●副葬品を納める
死化粧まで終えたら、ご遺体を棺に納めますが、その際、故人様が旅立つ際に持たせたい物、故人様からお棺に入れてほしいとお願いされた物などを副葬品として納めます。ただし、メガネや入れ歯、硬貨など、燃えにくいものやご遺骨を傷つける恐れがあるものは納めることができません。
なお、お棺に納められる副葬品に関しては、以下の記事で詳しく説明しておりますので、ぜひご参照ください。
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詳しく見るご納棺の儀での服装は?
ご納棺の儀は、お通夜式の前に執り行われるものになりますので、喪服を着なければいけないのかと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、地域によって、ご納棺の儀の服装は平服でもよいとされている地域もあります。そのため、ご遺族が「楽な服装で」とおっしゃられる場合は、「平服」で立ち会います。
間違えのない葬儀社の選び方や注意点をはじめ、さまざまな葬儀の知識・マナーを分かりやすくお伝えします。