神饌物とは?読み方や意味、お供え物の種類、並べ方について解説
神饌物(神饌)とは、神道において重要視されているお供え物です。しかし、神饌の文化が薄くなってきていることもあり、具体的にどのようなお供え物なのか知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「神饌物」と呼ばれるお供え物について詳しく解説していきます。神饌に関心がある方や、神道を信仰している方は、ぜひ参考にしてください。
コンテンツ
神饌物とは?
神饌物とは、神様にお供えする飲食物のことです。「神饌」とも呼ばれており、神道では神様への感謝と祈りを込めて、毎日お米やお酒などをお供えします。
また、日常の神饌を「日供(にちぐ )」といい、神社では「日供祭」と呼ばれるお祭りが行われています。はじめに、神饌物の読み方や意味など基本知識から確認していきましょう。
神饌物の読み方・意味
神饌物の読み方は「しんせんぶつ」または「しんせんもの」です。神饌物とは、神様が召し上がるお食事のことであり、「御饌(みけ)」や「御贄(みにえ)」などとも呼ばれています。
神道では、米・塩・水の3品を毎日お供えするのが基本です。この儀式には、食べ物を与えてくださった神様へ感謝を伝えるという意味があります。加えて、お下げした神饌をいただくことで、神様とのつながりが強くなると考えられています。
神饌物の由来・歴史
神饌物は、神道の「神人共食(しんじんきょうしょく)」という思想に由来します。神道では人が神様と同じものを食べることにより、加護を得られると考えられています。そのため、神饌物は直会(なおらい)、すなわちお供えした後に皆でいただくのが一般的です。
神饌物の種類
神饌物と呼ばれるお供え物にはさまざまな種類があります。ここでは、神饌物の主な種類を3つご紹介します。
生饌(せいせん)
生饌とは、いわゆる生の状態でお供えする神饌物のことです。具体的な例としては、炊いていない米や熱を通してない魚などが挙げられます。調理をせずにそのままお供えすることから、「丸物神饌」という呼び方もします。
素饌(そせん)
素饌とは、魚や鳥などを除いた神饌物を指します。精進物を除いたお供え物であり、その特徴から「精進神饌」とも呼ばれています。素饌の由来については、仏教の影響を受け、殺生を避けるために用意されたというのが有力な説です。
熟饌(じゅくせん)
調理した状態でお供えする神饌物のことを、塾饌といいます。前述のとおり、神饌物は神様に献上する食事であるため、元来は調理したものをお供えするのが基本とされていたそうです。熟饌は「調理神饌」という呼び名もあり、また「特殊神饌」と呼ばれることも少なくありません。
神饌物の並べ方
神道の信仰者がお米やお酒などをお供えすることは広く知られていますが、お供え物に序列があることをご存じでしょうか。お供えする品目と順番は以下のとおりです。
1. 米
2. 酒
3. 餅
4. 魚
5. 鳥
6. 海菜
7. 野菜
8. 果物
9. 菓子
10. 塩
11. 水
神道では主食としての米を中心に、上記の順でお供えするのが基本とされています。すべての品目を用意する必要はなく、手に入るものだけを順に並べるのが通例です。
なお、神饌物の並べ方は神社や地域によって異なる場合があります。加えて、神饌の種類・台数によっても配置が変わるため、事前に確認しておきましょう。
毎日神饌をお供えする「日供祭」について
日供祭(にっくさい)とは、神様に食事を献上し、日々の安寧(あんねい)や崇敬者の健勝などをお祈りするお祭りです。神社ではさまざまなお祭りが行われていますが、その中で毎日神饌をお供えするお祭りを「日供祭」と呼びます。
ご家庭においても、神様に感謝の気持ちを伝えるため、そして神様とのつながりを強くするために、毎日神棚にお供えする慣習があります。お住まいに神棚がある方は、日供祭に準じてお米・お塩・お水を中心に、お供え物を用意すると良いでしょう。
まとめ
神饌物は、神様が召し上がるお食事であり、神道において重要な儀式とされています。神饌は品目や並べ方が決まっているため、それに則ってお供えすることが大切です。作法や神具などについて分からないことがあれば、神社の方や神饌に詳しい方に相談してみると良いでしょう。
間違えのない葬儀社の選び方や注意点をはじめ、さまざまな葬儀の知識・マナーを分かりやすくお伝えします。