生前位牌とは?つくるメリットや注意点、文字入れの仕方について解説
生前に作成する位牌のことを、生前位牌といいます。現代において生前位牌は一般的なものではないため、死後に作成する位牌との違いについて気になっている方もいらっしゃるでしょう。本記事では、生前位牌について分かりやすく解説し、作成するメリットや注意点などもあわせてご紹介します。
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生前位牌とは?
生前位牌とは、生きているうちに戒名をいただいてつくる位牌のことです。「逆修牌(ぎゃくしゅはい)」とも呼ばれており、仏教では縁起が良いものとされています。
位牌をつくる際には「戒名」が必要で、これは仏様の弟子になったことを表す名前です。元来、戒名は死によって仏様の弟子になる機会を失い、成仏できなくなることを防ぐため、生前に授かるものとされていました。
現代では亡くなった後に戒名をいただく場合がほとんどですが、本来は生きているうちに戒名をいただくのが正式とされています。
亡くなった後につくる位牌との違い
亡くなった後につくる位牌との主な違いは、その見た目です。生前位牌は、戒名の部分に朱色を用いて刻みます。その理由は諸説ありますが、朱色が不老長寿の色とされており、また存命であることを表すためというのが通説です。
一方で、亡くなった後につくる位牌は、戒名の部分に金色を用いて刻みます。地域によっては別の色(黒色や青色など)を使うこともありますが、朱色を使うことはありません。
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詳しく見る生前位牌は縁起が悪くないのか?
先ほども軽く触れましたが、生前位牌は縁起が良いとされています。なぜなら、生前位牌は仏教の逆修に当たるからです。
逆修とは、生前に自分のための仏事を営み、死後の冥福を祈ることをいいます。仏教の教義上、逆修は高い功徳があるとされており、それに該当する生前位牌も縁起が良いといえるのです。
生前位牌をつくるメリット
現代では、位牌は亡くなった後につくるケースが多いため、「わざわざ生前につくる必要があるだろうか」といった疑問を感じている方もいらっしゃるでしょう。ここでは、生きているうちに位牌をつくるメリットを3つご紹介します。
戒名を相談しながら決められる
生前位牌を選択した場合、戒名の文字やランクを僧侶と相談しながら決められます。戒名は仏様の世界における故人様の新しい名前です。生きているうちに戒名について相談しておけば、自分が希望する文字を入れたり、ランクを付けたりできます。
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詳しく見るご家族への負担が軽減される
生前に戒名を授かることで、ご家族にかかる金銭的負担を軽減できる点もメリットです。ランクや宗派にもよりますが、亡くなった後に戒名を授かる場合、300,000〜1,000,000円ほどの戒名料がかかります。
一方で、生前に戒名を授かる場合の相場は、おおよそ50,000〜400,000円です。このように、戒名は死後よりも生前に授かるほうが費用を抑えやすい傾向があります。ご家族への負担やご葬儀関連の費用を抑えたいという方は、生前位牌を検討してみると良いでしょう。
仏教において、功徳があるとされている
仏教では生前に位牌をつくることで、高い功徳を得られるとされています。功徳を積むと、自分自身やご家族などの幸せにつながるといわれているため、縁起を担ぎたい方にもおすすめです。加えて、生前にお墓を建てることも逆修の一つであり、縁起が良いとされています。
生前位牌をつくる際の注意点
生前位牌を検討している方は、事前に注意点を確認しておくことも大切です。以下の3つの点に気を付けつつ、着実に準備を進めていきましょう。
ご家族の合意を得ておく
生前位牌をつくる場合は、あらかじめご家族に相談し、合意を得ておきましょう。話しにくい内容かもしれませんが、独断で位牌をつくると、自分の死後にご家族が位牌をつくってしまう可能性があります。無用なトラブルを避けるためには、事前の相談が欠かせません。
寺院で戒名を授かり、ご葬儀もその寺院で執り行う
菩提寺がある場合は、そちらの寺院で戒名を授かり、ご葬儀を執り行うようにしましょう。他の寺院に依頼すると、菩提寺での埋葬を断られるなど、何らかのトラブルに発展する可能性があります。菩提寺がない場合は、お好きな寺院に戒名授与やご葬儀を依頼して問題ありません。
戒名は赤文字で名入れする
生前位牌における戒名は、赤文字(朱色)で名入れするのがルールです。朱色は不老長寿の色とされており、「長生きできますように」といった願いを込めて、赤文字で名入れするのが決まりになっています。
死後に没年齢と没年月日を入れる
ご自身が亡くなった後、位牌に没年齢と没年月日を入れてもらいます。位牌の文字入れは仏具店や仏壇店で受け付けていますが、店舗によって字体が異なる場合もあるので注意が必要です。そのため、基本的には生前位牌を作成した店舗に依頼することをおすすめします。
また、没後は戒名の赤文字を金文字に変更しなければなりません。朱色は「生」を表す色であるため、没後は他の文字に合わせて色を変更する必要があります。位牌の文字に関するルールは、地域や寺院によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
生前位牌をつくる流れ
生前位牌をつくる流れを理解しておけば、よりスムーズに準備を進められます。基本的な流れは以下のとおりです。
1.僧侶から戒名を授かる
2.位牌を購入する
3.位牌の文字入れを依頼する
まずは僧侶から生前位牌に入れる戒名を授かります。菩提寺がある場合は、そちらの寺院に依頼するようにしましょう。
戒名授与を終えたら、仏具店や仏壇店などで位牌を購入します。生前・死後のタイミングに関係なく、位牌の選び方に決まりはないため、インターネットで購入できるものを使用しても問題ありません。
最後に、購入した位牌に文字入れをしてもらいます。注意点として、文字入れを開始した後はキャンセルができません。そのため、レイアウトなどについては、依頼先としっかり打ち合わせをしておくことが大切です。
まとめ
生前位牌は縁起が良いものとされており、戒名を相談しながら決められたり、ご家族への負担を軽減できたりといったメリットもあります。ご自身だけではなく、大切なご家族にとってもメリットがあるため、終活の一環として生前位牌の作成を検討してみてはいかがでしょうか。
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