故人の意味や由来、使い方とは?故人様を偲ぶ方法やマナーも解説
故人と聞けば、「亡くなった方」というイメージを持つ方が多いでしょう。間違いではありませんが、具体的な意味を知らなければ、大切な場面において間違った使い方をしてしまうことがあるかもしれません。そこで今回は、「故人」の意味や由来、使用方法など役立つ情報をお伝えしていきます。
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故人の意味とは?
故人という言葉が使われるのは、主にお通夜やご葬儀の場です。多くの方はその意味を知っており、自然に使用しています。ただし、違う意味で使われていることもあるのはご存じでしょうか。ここでは、故人の意味を改めて把握していきましょう。
亡くなった人のこと
故人とは、「亡くなられた方」を意味する言葉です。故人の「故」は、既に亡くなった方を指す意味のほか、「元から」「昔から」「以前」などの意味合いも含まれています。
かつては「旧友」という意味で使われることもあった
近年では、「故人」と聞くだけで亡くなった方のことだけを指すのかと思われがちですが、かつては、「旧友」という意味で存命の方に対して使われることもありました。しかしながら現代においては、生きている人に対してこの言葉が用いられることはほとんどありません。
故人という言葉の由来・歴史
そもそも故人とは、漢文で昔からの友人、旧友という意味を持ちます。高校の授業で教わる漢文の中に「故人ニ命ジテ」という文書が出てきますが、故人は旧友を指していると理解してこの漢文を辿れば、古くからの友人に何かを頼もうとしている様子がうかがえるでしょう。
故人は中国の漢文で旧友のほか、前妻や死者を意味すると伝えられている言葉です。日本にこの漢字が渡ってきた時点でも、その意味はほとんど同様に扱われていました。
かつて松尾芭蕉が遺した「野ざらし紀行」には、このような一文があります。
・水口にて 二十年を経て故人に逢ふ
ここに出てくる故人は亡くなった方ではなく、古くからの知人(弟子)を示しています。滋賀県甲賀市の水口で、芭蕉は弟子との20年ぶりの再会に喜び、この句を詠みました。現代では、亡くなった方に対してのみ使われる故人ですが、生きている方を表現して用いられていたという歴史は、知っておいても良いでしょう。
故人という言葉の使い方と意味
ここからは、現代において故人をどのような場面で用いるのが良いのか解説していきます。
故人を偲ぶ
「故人を偲ぶ」は、お通夜やご葬儀などの仏事でよく用いられる言葉です。この場合の故人は、亡くなった方を示していますが、偲ぶという想いにはいくつかの意味が込められています。
まず一つ目は心を寄せて思いを巡らせること、二つ目は過去に会った方や場所を懐かしむこと、そして三つ目は美しいと感じた対象に感心し味わうといった意味でも使用されることがあります。つまり故人を偲ぶとは、亡くなった方へ思いを馳せ、さまざまな思い出を懐かしむといった意味合いなのです。
故人の冥福を祈る
「故人の冥福を祈る」とは、亡くなった方の魂の安寧を願うという意味です。冥福の「冥」は死後の世界、そして「福」は幸せを示しているので、まさに言葉通りの内容になります。
しかしながら、どの宗教でも「冥福」と言う言葉が使えるわけではありませんので、使用する際には注意が必要な言葉と心得ましょう。もし、お悔やみの言葉をどのように伝えるべきか迷った場合は、「謹んでお悔やみ申し上げます」が無難です。
「故」+「氏名」
広報誌やメディア番組などで亡くなった方を紹介する際、名前の頭に「故」が付けられているのをよく見かけます。死者の名前に「故」を付けなければならないという決まりはありませんが、近年亡くなった方で万人がその生死を理解できていない場合は、名前の頭に「故」を付けて知らせるのが通例です。
ただし、歴史上の偉人や過去の著名人など誰もが知っている方が紹介される場合、名前の頭にわざわざ「故」を付ける必要はありません。
故人様を偲ぶ行為である「供養」とは?
故人様を偲ぶ行為 の一つに、供養があります。ここからは、行うべきご供養の目的やタイミング、方法などについて詳しく解説していきます。
供養を行う目的
供養とは、故人様の御霊に花や食べ物をお供えし、冥福を祈るという意味合いが込められています。つまり、供養の一番の目的は、故人様に対し敬意と感謝を込めて鎮魂することです。また、残された方々が故人様を失った事実と向き合い、悲しみを乗り越えるために必要な行いでもあります。
供養を行うタイミング・法要
故人様が亡くなった後は、その御霊を弔い成仏させるために、さまざまな儀式が執り行われます。お通夜や告別式、火葬と一連のご葬儀が終わった後、追善供養が行われるのが一般的です。
日常で仏壇に向かい手を合わせるのも立派な供養ですが、節目で法事を行うことも大切です。法要には、亡くなってから100日間までに行う忌日法要(きにち・きじつほうよう)と、忌日法要後に追善で行う年忌法要(ねんきほうよう)の二種類があります。
忌日法要は、初七日(しょなのか)から四十九日(しじゅうくにち)まで7日毎の計7回に加え、百カ日(ひゃっかにち)があげられます。ただし近年では、初七日や四十九日などをご葬儀の際にまとめて執り行う繰り上げ法要もよく見られるようになりました。
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ご供養のためにできることは、墓参りや法要へ参列するなどし、故人様へお線香を手向けることです。そこで心を込め、かつご遺族に失礼のないよう振る舞う必要があります。ここからは、参列時のマナーや注意点についてご紹介します。
お悔やみの言葉を伝える
ご葬儀でご遺族と顔を合わせた際は、お悔やみの言葉を掛けます。その際は、以下の例文を参考にして弔意を示しましょう。
・この度は、心よりお悔やみ申し上げます。
・突然のご不幸、誠に残念です。安らかな旅立ちを心よりお祈りしております。
・ご生前は大変お世話になりましたこと厚く御礼申し上げます。心よりお悔やみ申し上げます。
・この度は思いがけないことで、さぞご心痛のこととお察しいたします。心からお悔やみ申し上げます。
お悔やみの言葉を伝える際は、忌み言葉(死ぬ・弔う・仏・辛い・苦しい・痛いなど)や重ね言葉(つねづね、重ね 重ね、ますます、たびたびなど)を使用しないよう注意しましょう。忌み言葉や重ね言葉は、冠婚葬祭の場では縁起の悪いイメージを想起させるため、使用を控えなければなりません。
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故人様のご葬儀では、守るべきマナーがあります。以下で簡単に解説していきます。
訃報のすぐ後に駆け付ける場合は黒かダークグレーの平服を、お通夜やご葬儀、告別式ではブラックスーツである準喪服を着用します。
ご遺族の方から「どうか顔を見てお別れしてあげてください」と言われたら、断らずに故人様の元へ行き、対面するのがマナーです。また、ご遺族へ何の断りもなく故人様を拝みに行くのは良くありません。ご遺体の中には状態が良くなく、参列者に会わせるのが望ましくない場合もあるためです。
日常会話の中で思い出す
日常の会話でふと故人様を思い出した場合は、故人様との楽しかった思い出を語り合うことも立派なご供養となります。いつまでも忘れずに故人様を敬い思い出す心が、故人様の御霊にとっても、大切な慰霊につながるのです。
まとめ
故人には大きく分けて二つの意味がありますが、当記事では主に亡くなった方についての意味に注目し、その意味や使用方法について説明いたしました。今後「故人」といった言葉を使う機会に、この記事がお役に立てば幸いです。
間違えのない葬儀社の選び方や注意点をはじめ、さまざまな葬儀の知識・マナーを分かりやすくお伝えします。