家族が余命宣告されたらどうする?心構え、やるべきことについて解説
医師から余命宣告されたときには、ご本人はもちろん、ご家族も大きなショックを受けることでしょう。しかし、余命宣告は残された寿命を決めるものではありません。万が一のときに落ち着いて対応できるようにするためには、余命について正しく理解し、心の準備をしておくことが大切です。
本記事では、ご家族が余命宣告されたときの心構えや、すぐにやるべきことについて詳しく解説します。余命について理解を深め、これからの時間を有意義に過ごすためのヒントを得ておきましょう。
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余命宣告とは?
余命宣告とは、医師が患者に対して「あとどれくらい生きられるか」という余命を伝えることです。多くの場合、余命は年や月といった期間に換算して伝えられます。
なお、余命として宣告される期間は、あくまで過去のデータや患者さんの状態から導き出した予測でしかありません。そのため、告げられた期間より早く亡くなってしまう方もいれば、長く生きる方もいるのです。余命宣告は寿命を断定するものではなく、目安であることを理解しておく必要があります。
余命宣告される可能性のある主な病気
余命宣告される可能性のある主な病気として、下記の疾患が挙げられます。
<余命宣告される可能性のある主な病気>
●癌(がん)
●白血病
●脳梗塞
●くも膜下出血
一般的に、余命宣告は病気の症状が重い場合に告げられる傾向があります。特に癌をはじめとする進行性の病気は、手術後の合併症のリスクもあるため、患者さんやご家族に対して余命宣告を行うケースが多く見られます。
余命宣告されるタイミング、告知のされ方
余命宣告に厳密なルールはありませんが、癌を例に挙げると、医師が「標準治療で癌を治療できなかったとき」に余命を告げられることが多いようです。告知のされ方は医師にもよりますが、一般的には「あなたの余命はあと〇年です」というように、具体的な期間が提示されます。
余命宣告を受けたらどのくらいの期間生きられる?
余命は患者さんの病状や体質、年齢などから総合的に判断されるものであり、残された寿命を決めるものではありません。そのため、実際にどのくらいの期間生きられるのかは誰にも分からないのです。
なお、余命として告げられる期間は「生存期間中央値」を用いて導き出されます。この数値は、該当する病気にかかった患者さんの50%が、どれくらいの期間で亡くなっているのかを示す値です。あくまで中央値を参考にしているため、告げられた期間より早く亡くなってしまう場合もあれば、長く生きる場合もあります。
家族が余命宣告された際の心構え
大切なご家族が余命宣告されたら、不安や戸惑いで動揺してしまうでしょう。同時に、これからの時間を有意義に過ごすためには、現状をしっかりと把握しなければなりません。ここからは、ご家族が余命宣告された際の心構えについて解説していきます。
気持ちの整理の仕方
繰り返しになりますが、余命宣告は残された寿命を決めるものではありません。告げられた期間までに亡くなる確率は50%であり、余命が年単位の場合は寿命との誤差が生じやすいため、余命より長く生きられる可能性も十分にあります。
また、医療技術は日々進歩しており、新しい治療を受けられるようになるかもしれません。深刻な状況でお辛いと思いますが、絶望して現実から目を背けるのではなく、これからの未来のためにできるケアについて考えることが大切です。
余命宣告されたご本人への接し方
余命宣告をされたとき、すぐに現実を受け入れられるという方は少ないでしょう。そのため、ご本人の気持ちを最優先に考え、配慮した行動や発言を心掛けることが大切です。
なお、「頑張ってね」「もしかしたら治るかもね」といった軽率な励ましは、かえって患者さんを傷つけてしまう場合があります。無理に背中を押そうとするのではなく、聞き役に徹して「そうだね」「辛かったね」と共感する言葉をかけてあげると良いでしょう。
また、できる限りご本人の希望を叶えてあげることも大切です。できること・できないことがあると思いますので、医師と相談しながらご本人のやりたいことを実現させてあげましょう。
家族が余命宣告されたらすぐにやるべきこと
ご家族が余命宣告を受けたとき、ご本人のために何をしてあげれば良いのでしょうか。ここからは、周りの方々がすぐにやるべき4つのことをご紹介していきます。
ご本人に伝えるかを検討する
余命宣告は、必ずしもご本人に伝えるものではありません。医師の判断によってご家族だけに伝えられることもあり、その場合にはご本人に伝えるべきかどうか検討する必要があります。どのような判断を下すにしても、ご家族全員が覚悟を持って対応することが大切です。
医師の話を聞いて、今後の治療方針を決める
余命宣告を受けた際、病気の治療について選択を迫られることもあるでしょう。その場合、まずは医師から病気について詳しく説明を受けることが大切です。
医師の話を聞いた後、今後の治療方針を決めていくことになりますが、主な治療方針として以下の3つが挙げられます。
<余命宣告を受けた後の主な治療方針>
●完治を目指す
●延命治療を受ける
●緩和ケアを行う
治療方針はご本人の希望をはじめ、投薬によるリスクや必要な医療費などを考慮して決定するのが一般的です。医師の説明をよく聞き、ご家族全員でしっかりと話し合いをした上で、最適な選択をしましょう。
保険内容の確認、保険会社への連絡をする
保険サービスのなかには余命を告げられた場合に保険金の適用を受けられるものもあります。まずはご本人が加入している保険内容を確認し、その後に保険会社に連絡をして現状を説明しましょう。
なお、「リビング・ニーズ特約」が設定されている保険サービスであれば、余命が6ヶ月以内と宣告された場合に死亡保険金の一部を受け取ることが可能です。
思ったこと、やりたいことを書き出す
気持ちが整理できなかったり、考えがまとまらなかったりするときは、思ったことややりたいことを書き出してみると良いでしょう。心理療法の一つに「筆記開示」というものがあり、そのときの感情や思考を文字に起こすことで、幸福感の高まりやネガティブな感情の軽減につながるといわれています。
余命を告げられた後、ご家族と有意義な時間を過ごすためには、ご自身の心の調子を整えることも非常に重要です。
家族が余命宣告されたら始める準備
ここからは、ご家族が余命宣告されたときにできる準備について解説していきます。必要と感じるものがありましたら、無理のない範囲で準備を進めてみてください。
遺言書、エンディングノート
現代では「終活」という言葉がよく使われるようになり、その一環として遺言書やエンディングノートを作成する方が増えてきました。余命宣告を受けた・受けていないに関わらず、相続人への想いや財産の分配に関する意思を示すのはとても大切なことです。
遺言書は法的効力を持つ書面であり、一般的には相続財産について記載することが多いです。ただし、決まった書式で書かないと、法的効力がなくなってしまうので十分に注意しましょう。
一方で、エンディングノートは人生の終わりに備えてさまざまな情報をまとめておくノートのことです。書く内容や書式に決まりがないため、ご家族への想いや延命治療に対する希望など自由に書き記すことができます。
遺産相続
遺産相続に関するトラブルは非常に多いため、生前から準備を進めるべきといえます。所有財産や相続人について確認しておけば、ご家族や親族の間でトラブルが起こることもなくなるでしょう。可能であれば法的効力のある遺言書を作成しておくことをおすすめします。
ご葬儀
できることなら生前にご葬儀の内容についても相談しておきたいところです。人によって希望するご葬儀の形式や規模は異なり、ご家族はいざというときに備えて葬儀費用を蓄えておかなければなりません。デリケートな話題ではありますが、より良いご葬儀を実現させるためには、ご家族全員でしっかりと話し合いをしておくことが大切です。
思い出の写真
ご家族を亡くされた方のなかには「もっと思い出の写真を撮っておけばよかった」と後悔されている方も少なくありません。現代ではスマホで簡単に写真を撮ることができ、大切な思い出を形に残すことができます。恥ずかしさもあると思いますが、いつでも大切な方の存在を身近に感じられるよう、今日から思い出の写真を少しずつ増やしてみてはいかがでしょうか。
家族が余命宣告されても希望を捨てず、残された時間を大切に過ごそう
余命宣告はご本人だけではなく、ご家族にも大きなショックを与えます。現実を受け入れられず、これからどうすれば良いのかと頭を抱えてしまう方も少なくありません。時間がかかるかもしれませんが、まずはご本人・ご家族ともに気持ちが落ち着くのを待ちましょう。
また、余命宣告を受けた後には今後の治療方針や過ごし方についての話し合いなどやるべきことがたくさんあります。ご家族が余命宣告されたとき、一人ひとりが希望を捨てず、残された時間を大切に過ごすことが最も重要なのではないでしょうか。
まとめ
余命宣告を受けるのは、まるで残された寿命を決められるようでお辛いと思います。しかし、健康状態に関係なく、私たちの人生はいつまで続くのか分かりません。改めて命の尊さを実感したからこそ、何よりも重要なのはこれからの時間をより大切に過ごすことではないでしょうか。
ご家族全員がより良い時間を過ごすため、そして将来に向けて必要な準備を進めるために、この記事が少しでもお役に立てたのであれば幸いです。
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