重篤とは?危篤や重体との違い、身内が重篤になった時の対応について解説
「重篤」という言葉を耳にしたことはあっても、具体的にどのような状態なのかまでは知らない方も多いのではないでしょうか。当記事では、重篤の意味や危篤・重体・重傷との違いを解説します。
また、大切な方が重篤になった場合の対応もご紹介しますので、ぜひご一読ください。
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重篤とは?
重篤の意味を知っておけば、ご家族や親しい方が重篤だと告げられた際に適切な対応ができます。いざという時パニックに陥らないよう、ここで意味や使用法、他の言葉との違いなどを把握しておきましょう。
重篤という言葉の読み・意味・使い方
「重篤(じゅうとく)」とは、傷病の状況が極めて重く、生命維持が困難で予断を許さない状態のことを指す医療用語です。重篤に関する基準は定められていませんが、緊急性が高い状態であると覚えておく必要があります。
なお厚生労働省では、傷病における重要度を「軽症・中等症・重症・重篤・死亡」の5つに分類しています。この定義上では、重篤は死亡に次ぐ重い状態です。しかし、治療により回復する可能性が残されている場合にも、この表現が用いられることがあります。
似た表現との意味の違い
重篤と似たイメージの言葉で、危篤・重体・重傷という言葉があります。これらは、重篤と同じ意味で捉えられることがありますが、実はそれぞれに異なる意味が含まれています。さっそく、その違いを見ていきましょう。
危篤
「危篤(きとく)」は、重篤よりもさらに重い状態を指します。回復の見込みを残した重篤とは違い、回復の兆しがほとんど見込めない状態の時に用いられる言葉です。しかしながら、必ず亡くなってしまう訳ではなく、「対象者のご臨終を覚悟願います」という意味を示しています。
重体
「重体(じゅうたい)」は、傷病の状態が重く、時と場合によっては生命維持に関わる状況を指します。しかしながら、言葉の意味としては重篤より状態は軽いと考えられます。この言葉を用いられた時点では、重い症状とはいえ生命維持はできており、回復の見込みがある状態です。
重症
「重症(じゅうしょう)」は、傷病の容態が重く、生命維持の危険がある状態です。しかしながら、重体よりも危険度は下がります。消防庁の定義では、「21日(3週間)以上の入院および加療が必要な傷病」と定められています。
身内の方が重篤になった時の対応
大切な方の重篤の知らせを受ければ、ショックや動揺から頭が真っ白になり、どのように行動してよいのか分からなくなってしまうこともあるでしょう。そこで本項では、いざという時の対応をご紹介します。
まずは心を落ち着かせる
重篤の知らせを受けたらまず、ご自身の気持ちを落ち着かせましょう。大きく深呼吸をして、静かに息を吐くことに意識を集中させます。パニック状態に陥らないように気持ちを整え、落ち着いて対応しましょう。
ご家族・ご親戚に連絡する
もし病院から重篤の知らせを受けた場合は、その時の状況にもよりますが、病院に向かいながらご親戚への連絡を済ませます。三親等まで伝えるのが一般的ですが、手が回らない場合などは、一番信頼のできる方にご親戚への連絡をお願いするとスムーズです。またご親戚だけにとどまらず、親しい付き合いがあった方への連絡も、この時に済ませておきましょう。
泊まり込みの準備をする
重篤な状態とは、いつ亡くなってもおかしくない重い症状を示しますが、どのくらいの期間で亡くなるか、または持ち直すかには個人差があります。駆けつけた後すぐに亡くなる場合もあれば、治療に数日を要する場合もあるため、泊まり込みの準備をしておく必要があります。
できるだけ早く病院に駆けつける
重篤は一刻を争う危険な状態であるため、すぐにでも病院へ向かう必要があります。携帯・充電器・身分証明書・財布・お泊まりセットなどを手早く用意し、速やかに病院へ向かいましょう。
本人に声をかけて元気づける
本人に会えたら声をかけ、そばにいることを伝えましょう。この時にかける言葉は、「前向きな言葉」「感謝の気持ち」「思い出話」のような、本人を安心させるようなものが好ましいです。
自分の職場に連絡する
ご家族が重篤である場合、付き添いをしなければなりません。そのため、仕事を休む必要が出てきます。休む場合は、直属の上司にご家族の状況と休みをとる必要がある旨を伝え、業務上で迷惑をかけることのないように引き継ぎを行いましょう。会社によっては特別休暇を貰える可能性もあります。
2~3日にとどまらずお休みが長引く場合は、上司とこまめに連絡をとり合い、状況と休みの相談を都度行っていきましょう。
葬儀社に確認をとる
重篤な状況から危篤状態となりその後に亡くなると、葬儀場か自宅の安置所までご遺体を搬送します。搬送は葬儀社で行うのが一般的なため、葬儀社と搬送やご葬儀の手続きをします。しかし、重篤な状態であっても、必ず亡くなってしまうとは限りません。体力によって持ち直す場合があるため、ご逝去を確認してから手続きを行いましょう。
【注意】宗教によっては対応が異なる場合がある
重篤な状況下での対応は、宗教によって異なる場合があります。菩提寺がある場合は、亡くなった直後に葬儀社と打ち合わせをした後で、速やかに僧侶へ連絡しましょう。またキリスト教の場合は、重篤な状態に入ったタイミングで儀式が始まりますので、神父もしくは牧師へ早めに連絡する必要があります。
身内の方が重篤になった時の連絡方法
重篤もしくは危篤時の連絡方法は、携帯電話もしくは固定電話を使用するのが一般的です。重篤や危篤状態は、緊急の対応を要します。夜中や早朝であっても、迷わず連絡を入れましょう。
電話がつながりにくい場合は、メール・SNS・メッセージアプリ・FAXを使用する方法もありますが、すぐに見てもらえるかどうか分かりませんので、あくまで補助的なツールとして考えましょう。
ご家族・ご親戚に連絡する際の文例
本項では、文書で連絡する際の文例をご紹介します。ただ、こちらはあくまでテンプレートなので、相手との関係を加味してご自身の表現で書きましょう。
〈例〉
夜分遅くに失礼いたします。
私は(重篤/危篤者名)の娘、(送信者名)です。
お電話不通でしたので、メールよりご連絡しました。
先ほど、病院より父の容態が急変し(重篤/危篤)状態であると連絡がありました。
医師の判断では、もって○日前後とのことです。
つきましては、父が存命の内に、ひと目会っていただけないでしょうか。
入院している病院は以下になります。
病院名:○○病院
住所:○○県○○市○○123-456
病室番号:A病棟○○号室
面会時間は○時〜○時までですが、時間を過ぎた場合[時間外窓口]からお入りいただけます。
このメールをご確認後は、下記の連絡先までお知らせいただけると助かります。
携帯電話番号:123-4567-8910
どうぞよろしくお願いいたします。
職場に連絡する際の文例
次に、職場の上司へ連絡する際の文例です。
〈例〉
夜分遅くに失礼いたします。/早朝に失礼いたします。
○○部○○課の○○です。
突然のご連絡、申し訳ございません。
先ほど入院中の父が(重篤/危篤)との連絡がありましたため、これから病院へ向かいます。
急なことで誠に申し訳ございませんが、付き添いのため数日間の休暇をいただきたく存じます。
状況が分かり次第、改めてご連絡します。
ご迷惑をおかけいたします。
よろしくお願い申し上げます。
身内ではない方の危篤の知らせを受けた時は
危篤の知らせを受けた場合、確認すべき事項があります。一つ目に危篤者の名前と状態、次に入院先の病院名・住所・部屋番号、最後に面会の可否です。
コロナの影響も相まって、身内以外の面会が認められないことがあります。よって、知らせを受けた際は慎重に確認し、その後の対応を決めていく必要があります。
お見舞いには行かない
危篤者のお見舞いは、ご親族だけで行うのが一般的です。連絡の際に進言がない場合は、お見舞いは遠慮する方が無難です。ご親族から、危篤者にぜひ会ってほしいと打診があった場合のみ伺いましょう。
お見舞いの手紙・メールの文例
危篤の知らせを受けた際、返信内容は短文でまとめます。適切にマナーを守り、ご家族に寄り添うような一文を入れて作成しましょう。また、ご家族への配慮からお見舞いを遠慮した場合、代わりにお手紙で励ます方法がおすすめです。以下例文をご参照ください。
〈返信メール文言例〉
・何か手伝えることがあれば、遠慮なく言ってください。
・今は、○○さんとの時間を大切になさってください。
〈お見舞いの手紙文例〉
○○様
突然のご病気と伺い、非常に驚きました。経過はいかがでしょうか。
仕事のことなど心配でしょうが、しっかり休んで治してください。
○○さんが一日も早く回復することを、心からお祈りいたします。
まずは書中にてお見舞い申し上げます。
まとめ
大切な方の重篤の知らせを受けながら、冷静な対処をするのは簡単ではありません。だからこそ、症状を正確に把握して、ご自身が今何をすべきなのかを判断できるよう、言葉の意味とすべきことを知っておくのが大切です。
重篤と似た定義の言葉が多くあることから、いざという時の病状の判別は難しいです。ご自身で分からないことがあれば、医療機関に確認をとりましょう。
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