繰り上げ法要とは?メリットやデメリット、香典などの必須な準備について解説
繰り上げ法要とは、ご葬儀と同じ日に法要を執り行うことを指します。近年は、多忙な方や遠方に住む方の負担を減らすため、法要の日を繰り上げるケースが増えています。
しかしながら、ご葬儀と同じ日に法要を行うのには注意点もありますので、事前に把握しておくことが大切です。本記事では、繰り上げ法要のメリットやデメリットを解説し、必要な準備についてもご紹介します。
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繰り上げ法要とは?
繰り上げ法要とは、ご葬儀の当日に法要を済ませることを指します。本来、ご葬儀と法要は別の日に行われますが、その度にご遺族やご親族が集まるのは負担がかかるものです。
特に仕事で忙しい方や遠方に住んでいる方は、何度も法要に参列するとなれば大きな負担がかかります。そこで注目されているのが繰り上げ法要です。
ご葬儀の日と法要の日が同じであれば、参列する予定の方はスケジュール調整がしやすくなり、さらには移動の手間や費用も減ります。より多くの方に参列してもらえるよう、現代では繰り上げ法要を行うケースが多いです。
法要とは?
法要とは、故人様のご冥福をお祈りして供養する仏教の儀式です。宗派にもよりますが、仏教では故人様が亡くなってから四十九日までは、魂が成仏していない期間だと考えられています。
そのため、ご葬儀の後には法要を定期的に行い、故人様が極楽浄土へ辿り着けるように供養するのです。しかし、昨今は短期間に何度も集まるのが難しいなどの理由から、法要を初七日と四十九日にのみ行うケースが増えています。
繰り上げて行われるのは「初七日法要」が多い
一般的に、ご葬儀の日に繰り上げて行われるのは「初七日法要」が多いです。通常の初七日法要は、故人様が亡くなった日から数えて7日目に行われます。
しかし、現代ではご親族であっても遠方に住むケースが増えており、ご葬儀の日から短期間に何度も集まることが難しくなってしまいました。そのような事情もあり、多くの方が法要に参列できるよう、ご葬儀の日に繰り上げて行われるようになったのです。
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また、かつての北海道は開拓のために忙しく、忌日から7日おきに集まることが難しかったため、ご葬儀と同じ日に法要を行うようになったとされています。
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初七日の繰り上げ法要には「戻り初七日」と「式中初七日」の2種類があります。それぞれ儀式の進め方が異なりますので、この機会に確認しておきましょう。
戻り初七日
戻り初七日では、ご葬儀の後に火葬場へと向かい、故人様とお別れをしてから葬儀場に戻って法要を執り行います。火葬を終えてから法要を行いますので、本来の初七日に近い形で供養することが可能です。
また、故人様がご遺骨になってから法要を執り行うため、戻り初七日はご遺族とご家族のみで行う場合が多くなっています。
式中初七日
式中初七日では、ご葬儀に続いて法要を執り行い、その後に火葬場へと向かいます。戻り初七日とは異なり、葬儀場と火葬場を行き来することがなく、火葬が行われている間に精進落としができるという合理的な方法です。
しかし、寺院によっては火葬前に法要を行わない場合もありますので、事前に葬儀社や菩提寺(ぼだいじ)に確認しておくと安心です。
繰り上げ法要を行うメリット
ここでは、繰り上げ法要を行うメリットについて解説します。以下の内容を参考に、法要の日を繰り上げるべきか検討してみましょう。
より多くの人に参列してもらえる
繰り上げ法要は、現代のライフスタイルに合った方法であり、より多くの方に参列してもらえるというメリットがあります。なぜならば、ご葬儀と同じ日に法要を行うことで、多忙な方や遠方に住む方の負担を減らせるためです。
ご葬儀と法要を別の日に行う場合、参列する予定の方はスケジュール調整が大変になり、移動による負担も増えてしまいます。しかし、繰り上げ法要を行えば何度も集まる必要がなくなるため、より多くの方に参列していただくことが可能です。
手間や費用を抑えられる
ご葬儀と同じ日に法要を行えば、別の日に改めて行う場合の手間や費用を抑えられます。特に遠方に住んでいる方にとって、移動の手間や費用を抑えられるのは大きなメリットです。
現代では、時間に追われる日々を過ごしていたり、経済的な不安を抱えていたりする方が多くいらっしゃいます。そのような方々の負担を軽減したい場合には、繰り上げ法要は非常におすすめの方法です。
繰り上げ法要のデメリット・注意点
参列者の負担を軽減できる繰り上げ法要ですが、いくつか注意すべきポイントもあります。それでは、どのようなデメリットがあるのか確認していきましょう。
スケジュールが詰まる
繰り上げ法要では、1日のうちにご葬儀と法要を行うため、どうしてもスケジュールが詰まってしまいます。長い目で見れば手間を省けますが、1日にまとめて行うことで当日の負担が多少増える点はデメリットです。
まわりの人から理解を得る必要がある
近年は、繰り上げ法要を行うケースが増えてきましたが、中には法要の日を繰り上げることに否定的な方もいらっしゃいます。そのため、周囲の方から理解を得る必要があることも心に留めておきましょう。
繰り上げ法要を行う場合に必要な準備
ここからは、繰り上げ法要を行う場合に、必要な準備について解説していきます。着々と準備を進められるよう、必要な手続きや用意するものを確認しておきましょう。
寺院・参列者への連絡
ご葬儀の読経をお願いする際、繰り上げ法要を行うことを併せて伝えましょう。なお、寺院によっては式中初七日を行わない場合もありますので、対応してもらえるのかどうかの事前確認が必要です。
戻り初七日を行う場合は、参列者にスケジュールや会場について連絡し、出欠を取りましょう。
会食の準備
会食を行う場合は、参列者の人数に合わせて料理や会場を準備する必要があります。寺院や自宅での会食を予定している方は、仕出し料理を予約しておきましょう。
一方で、会食を行わない場合は、参列者にお持ち帰りしてもらう折詰や返礼品の予約が必要です。
お布施
以下の表に、法要でお渡しするお布施やそのほかの謝礼の相場をまとめましたので、目安としてご参考になさってください。
<法要でお渡しするお布施・謝礼の相場>
●お布施:5,000〜10,000円
●御車代:5,000〜10,000円
●御膳料:5,000〜10,000円
法要ではお布施のほか、葬儀場とは別の場所に移動する場合は御車代を、精進落としを省略する場合は御膳料を準備し、お礼として僧侶にお渡しするのがマナーです。
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香典返し
香典を辞退する家族葬などのケースを除いては、香典返しの準備も必要です。一般的に、香典返しの金額相場は、いただいた香典の半分相当が目安とされています。
また、返礼品と同様に、焼き菓子や海苔などの「消え物」をお渡しするのが通例です。ただし、香典返しの考え方には地域差がありますので、仏事に詳しい方や葬儀社に一度確認してみることをおすすめします。
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ご葬儀と法要が同日に行われる場合、香典をどうすべきか悩んでしまうかと思います。最後に、繰り上げ法要における香典について解説しますので、ぜひご一読ください。
原則としてご葬儀・法要で別に用意する
繰り上げ法要における香典は、原則としてご葬儀と法要で別に用意します。なぜならば、ご葬儀と法要は異なる儀式と認識する必要があるためです。
しかし、近年は別に用意しないケースも増えていますので、判断に迷ってしまった際は周囲の方に相談してみると良いでしょう。
香典の金額相場
香典の金額相場は、故人様との関係性や参列者の年齢によって異なります。一般的に、目安とされている金額は以下の通りです。
【香典の金額相場】
故人様と関係性 | 金額相場 | ||
---|---|---|---|
20代 | 30〜40代 | 50代 | |
親族・親戚 | 10,000〜50,000円 | 10,000〜50,000円> | 30,000〜100,000円 |
友人・知人 | 3,000〜10,000円 | 5,000〜10,000円 | 5,000〜10,000円 |
同僚・上司 | 5,000円ほど | 5,000〜10,000円 | 5,000〜10,000円 |
近所の方 | 3,000〜5,000円ほど | 5,000円ほど | 5,000〜10,000円 |
上記の金額は、ご葬儀と法要が別の日に行われる場合の相場です。繰り上げ法要では、ご葬儀でいただいた香典の半額相当が一つの目安とされています。
香典の表書きの書き方
仏式の場合、四十九日より前の法要では「御霊前」と書くのが一般的です。したがって、戻り初七日や式中初七日に参列する際は、香典袋には御霊前と記載するのが良いでしょう。
なお、香典の表書きは故人様の宗教・宗派によって変わってきますので、分からない場合は喪主や周囲の方に確認してみてください。
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香典は、お通夜に参列した際にお渡しするのが一般的です。しかし、お通夜に参列できない場合もありますので、その際はご葬儀や告別式でお渡ししても問題はありません。
また、香典をお渡しする際は「この度はご愁傷様です」「御霊前にお供えください」など、お悔やみの言葉を添えるようにしましょう。
まとめ
繰り上げ法要とは、本来のタイミングよりも早く法要を執り行うことをいいます。一般的には、ご葬儀の日に行われる「初七日法要」を指す場合が多いです。
近年は、遠方にお住まいの方や多忙な方に配慮し、繰り上げ法要を選択する方が増えています。本記事で解説したメリット・デメリットを参考に、法要の日を繰り上げるべきかを検討してみてください。
間違えのない葬儀社の選び方や注意点をはじめ、さまざまな葬儀の知識・マナーを分かりやすくお伝えします。