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回向とは?読み方や意味、行うタイミング、宗派ごとの回向文について解説


回向とは?読み方や意味、行うタイミング、宗派ごとの回向文について解説

回向(えこう)とは、自分が積んだ功徳(くどく)を他の方に回し向けることです。仏教では、善い行いをして得た功徳を亡くなった方に分け与えると、自他ともに極楽往生できると考えられています。

しかし、「具体的に何をするのか」「供養とは何が違うのか」など、気になることも多いのではないでしょうか。そこで今回は、回向について分かりやすく解説していきます。

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回向とは?

回向という言葉には「転回する」「変化する」などの意味があり、仏教においては「自分が積んだ功徳を他者に回し向ける」ことを指します。それでは、回向の意味や種類について詳しく見ていきましょう。

お経などで得た功徳を分け与えること

回向とは、お経や念仏などで得た功徳を亡くなった方に分け与えることです。日本では善い行いをすると、ご褒美としてご利益(功徳)がもたらされると言われています。そして、自分が積んだ功徳を亡くなった方に分け与えることで、仏の世界に辿り着けると考えられているのです。

なお、功徳という言葉には二つの意味があり、そのうちの一つが「果報を得られるような善行」です。仏教では「寺院を建てる」「仏像を作る」「お経を読み上げる」といった行為が善い行い(功徳)であるとされています。

もう一つの意味は「神仏の恵み・ご利益」です。日本には「徳を積む」という言葉がありますが、仏教では善行を重ねてご利益(功徳)を得ると、その分だけ良い結末が迎えられると信じられています。

回向の種類

一口に回向と言っても、その種類は実に様々です。宗派によって異なりますが、回向の主な種類として、以下のものが挙げられます。

【回向の種類】

種類 概要
回向 晨朝法要・日中法要・逮夜法要・随時で回向を行う
特別回向 施主家のみで回向を行う
日牌(にっぱい) 毎月の月命日に回向を行う
月牌(がっぱい) 毎月の祥月に回向を行う
開眼(かいげん)・撥遣供養(はっけんくよう) 位牌・仏像の開眼供養(お魂入れ)または撥遣供養(お性根抜き)を行う
納牌(のうはい)・納仏供養(のうぶつくよう) 汚損した位牌または仏像を納め、後日浄焚供養(お焚き上げ)を行う

回向と供養の違い

回向と混同されがちな「供養」ですが、双方には明確な違いがあります。供養とは、故人様があの世で幸せに過ごせるよう祈り、法事を営んだり、お供え物をしたりする善行のことです。一方の回向は、供養を通して得た功徳を、ご先祖様や故人様に分け与えることを言います。

供養と回向のどちらも、故人様のご冥福をお祈りするための行為です。しかし、供養は功徳につながる行為であり、回向は功徳を他者に与える行為ですので、似て非なるものといえます。

回向を行うタイミング

亡くなった方のご冥福を祈る回向は、日本の慣習として根付いていますが、具体的にはいつ行うのが良いのでしょうか。ここからは、回向を行うタイミングについて解説していきます。

命日

基本的に回向は、故人様の命日に行います。月命日に毎月1回、祥月命日に毎年1回、読経などを行って功徳を回し向けるのが一般的です。なお、寺院で行う回向には「日牌(にっぱい)」「月牌(げっぱい)」「年牌(ねんぱい)」などの種類があります。

お彼岸

お彼岸とは、あの世とこの世が最も近付く日のことです。日本特有の風習であり、春分の日を中日とするお彼岸を「春彼岸」、秋分の日を中日とするお彼岸を「秋彼岸」と呼びます。

一般的に、お彼岸は先祖供養の期間とされており、お墓参りに合わせて「墓回向(墓前で回向)」を行うケースも珍しくありません。また、春彼岸には「牡丹餅(ぼたもち)」を、秋彼岸には「御萩(おはぎ)」をお供えし、亡くなった方を供養する慣習もあります。

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法要

仏教儀式にあたる法要の場でも、回向を行います。宗派や地域によって違いはありますが、一般的な法要は以下の通りです。

【法要の種類】

種類 概要
初七日 故人様が亡くなってから7日目に行う法要
四十九日 故人様が亡くなってから49日目に行う法要
百箇日 故人様が亡くなってから100日目に行う法要
一周忌 故人様が亡くなってから1年目に行う法要
三回忌 故人様が亡くなってから満2年後に行う法要

なお、寺院の中には「法要と回向は別物」と考えているところもあります。したがって、必ずしも上記のタイミングで行うとは限らないことも頭に入れておきましょう。

納牌・納仏の供養

回向の一種である納牌・納仏の供養は、位牌や仏像をお焚き上げする際に行われます。お焚き上げとは、古くなった位牌や仏像などを焼却し、天に還す宗教儀式のことです。この儀式は「浄焚供養(じょうぼんくよう)」や「浄焚式(じょうぼんしき)」とも呼ばれています。

宗派によって異なる回向文(えこうもん)について

回向文(えこうもん)とは、仏教を信仰する方が、日々のお勤めや法事の終わりに読み上げる文章のことです。法要の場では、読経の後に回向文を読み上げ、お経で得た徳を故人様に分け与えます。

ただし、宗派によって用いる文章は異なりますので、この機会に違いを確認しておきましょう。ここからは、各宗派の回向文の一例をご紹介していきます。

浄土宗・浄土真宗で読まれる回向文

浄土宗・浄土真宗では、以下のような文が読まれます。

世尊(せそん)我一心に尽十方(じんじっぽう)無碍光如来(むげこうにょらい)に帰命(きみょう)して安楽国に生まれんと願ず

世尊とは「お釈迦様」、尽十方無碍光如来とは「阿弥陀如来」のことです。上記の文章には、「仏にすがり、極楽浄土へ生まれたい」という希望が込められています。

天台宗・真言宗で読まれる回向文

天台宗・真言宗では、以下のような文が読まれます。

願わくは この功徳を以って 普(あまね)く一切に及ぼし 我等と衆生(しゅじょう)と皆共(みなとも)に仏道を成(じょう)ぜん

意訳すると、「自分の功徳を全ての存在と分かち合い、みんなで悟りを開けますように」という内容になります。上記の回向文はあくまで一例であり、異なる文を読み上げるケースも少なくありません。

曹洞宗・臨済宗で読まれる回向文

禅宗である曹洞宗と臨済宗は、回向文の内容がほぼ同じです。最初の言葉は天言宗や真言宗と同じであり、最後に略三宝(りゃくさんぽう)を唱えます。

略三法とは、仏教における3つの宝(仏・僧・法)に謝意を示し、その行為によってもたらされた功徳を、あらゆる方向に向けるというものです。漢文の場合、略三法は以下のように記されます。

十方三世一切仏(じほうさんしいしふ) 諸尊菩薩摩訶薩(しそんぶさもこさ) 摩訶般若波羅蜜(もこほじゃほろみ)

日蓮宗で読まれる回向文

日蓮宗で読まれる回向文は非常に長いため、ここではご紹介しきれません。読み上げるのに数分以上かかることがあり、文中には故人様の戒名や法要を営む家名が含まれていることもあります。

僧侶に渡す回向料について

法要などで僧侶に読経をお願いした場合、そのお礼として回向料を渡します。最後に、回向料の金額相場や渡し方をご紹介しますので、法要の準備にお役立てください。

回向料とお布施の違い

回向料とは、読経によって僧侶が得た功徳を分け与えていただいたことへの謝礼です。お布施も僧侶にお渡しする金銭のことを指しますが、厳密には読経などに対する対価ではなく、本尊に捧げるものとなります。

回向料とお布施は異なる意味を持ちますが、現代では回向が行われた時も、お布施と表記するのが一般的です。明確な決まりはありませんので、どちらをお渡ししても失礼になることはありません。

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回向料の金額相場

前提として、回向料は僧侶に対するお礼の気持ちを表すものであり、明確な金額は定められていません。しかしながら、目安となる金額相場は存在しますので、一覧表にまとめてご紹介します。

【回向料の金額相場】

仏事 金額相場
通夜からご葬儀・告別式 100,000〜500,000円
四十九日 30,000〜50,000円
納骨 30,000〜50,000円
初盆 30,000〜50,000円
初盆以降のお盆 5,000〜20,000円
年忌法要 10,000〜50,000円

寺院によっては金額を指定していただけることもありますが、回向料はあくまで謝礼ですので、「お気持ちで」と言われてしまう可能性もあります。そのような時は、仏事に詳しい知り合いの方や、葬儀社のスタッフに尋ねてみるのがおすすめです。

回向料の渡し方・マナー

回向料を僧侶にお渡しする際は、いくつか注意すべきポイントがあります。以下の表に、基本的なマナーをまとめてみましたので、そちらを参考に準備を進めてみてください。

【回向料の渡し方・マナー】

回向料の包み方 奉書紙(ほうしょがみ)に包むのが正式な方法
(奉書紙が手に入らない場合は、真っ白な封筒(一重タイプ)で代用可能)
回向料の表書き 上段に「回向料」、下段に施主名または「〇〇家」と記す
(薄墨ではなく「濃墨(こずみ)」を使用する)
回向料を渡すタイミング 法要前の挨拶時にお渡しするのが一般的
回向料の渡し方 手渡しではなく「小さなお盆」に乗せて渡す
(小さいお盆がない場合は、袱紗(ふくさ)に乗せて渡す)
封筒の向き・乗せ方 表書きが僧侶の正面になるように向きを整える
(お車代や御膳料と一緒に渡す場合は、回向料が一番上になるように乗せる)

回向料は、法要が始まる前の挨拶時にお渡しするのが一般的です。しかし、準備で忙しい場合もありますので、僧侶の状況から判断することをおすすめします。

また、僧侶にお金をお渡しする際、直接手渡しするのはマナー違反です。失礼にならないよう、回向料は「小さなお盆」や「袱紗(ふくさ)」に乗せてお渡しするようにしてください。

まとめ

回向とは、仏事を通して得た功徳を故人様に回し向けることです。仏教では、自分が積んだ功徳を他者に分け与えると、自他ともに極楽往生できると考えられています。より良い供養を行うために、本記事が少しでも参考になれば幸いです。

記事の制作・編集家族葬コラム編集部
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