一周忌の案内状の書き方を例文つきで解説!書くとき、送るときのマナーも
一周忌を迎える際、故人様のご友人やお知り合いに法要の開催を知らせるため、案内状を送るのが一般的です。しかしながら、初めて案内状を送るとなれば、正しい書き方やマナーについて頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、一周忌の案内状の書き方を例文つきで解説します。また、書くときや送るときのマナーも併せてご紹介しますので、ぜひご一読ください。
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一周忌の案内状とは?
一周忌の案内状とは、故人様のご親族や生前お世話になった方などに、法要の開催をお知らせするための書状です。日時と場所、誰の法要を執り行うのかを記載し、先方に出欠を尋ねるのが主な目的となります。
一周忌法要とは
一周忌法要とは、故人様が亡くなってから1年目の命日に行われる法要のことです。生前お世話になった方をお招きし、「僧侶の読経(どきょう)」や「参列者の焼香」などを行って、故人様を偲ぶために行われます。
また法要の後には「お斎(おとき)」を行う場合も多いです。お斎とは、施主(法要の当主)が参列者を招待して行う会食のことで、食事の席を設ける場合は、案内状にその旨も併せて記載します。
一周忌の案内状に書く内容
仏事に詳しい方でなければ、一周忌の案内状に何を書けば良いのかと悩んでしまうことも多いのではないでしょうか。一周忌の案内状に書くべき内容は、以下のとおりです。
<一周忌の案内状に書く内容>
●頭語・結語
●時候の挨拶
●法事の日時・会場
●食事(お斎)について
●差出人の住所・氏名
●宛名・宛先
●返信依頼
それでは、各項目のポイントについて詳しく解説していきます。
①頭語・結語
一周忌の案内状を書く際は、文のはじめに「頭語(とうご)」を、文の終わりに「結語(けつご)」を使います。頭語とは手紙に用いる挨拶語の総称であり、結語とは挨拶語に対応した結び言葉のことです。
なお、頭語と結語はセットで使うのがルールになります。例えば、頭語が「拝啓」である場合、結語には「敬具」を用いるのが正しい書き方です。
②時候の挨拶
頭語の後には、季節を表す「時候の挨拶」を記入します。具体的には「○○の候」や「○○の折」といったように、季節に当てはまる時候の挨拶を記載するのが一般的です。
またそれぞれの季節に当てはまる時候の言葉は、案内状を送る月によって異なります。以下の表に、時候の挨拶の一例をまとめましたので、参考にしてください。
【時候の挨拶の一例】
月(季節) | 時候の挨拶 |
---|---|
1月 | 厳寒の候 |
2月 | 余寒の候 |
3月 | 早春の候 |
4月 | 陽春の候 |
5月 | 新緑の候 |
6月 | 梅雨の候 |
7月 | 盛夏の候 |
8月 | 残暑の候 |
9月 | 初秋の候 |
10月 | 秋冷の候 |
11月 | 晩秋の候 |
12月 | 初冬の候 |
③法事の日時・会場
一周忌の案内状を受け取る側にとって、最も気になるのが法事の日程です。そのため、案内状には法事の日時や会場について、分かりやすく記載することが求められます。
誰もが安心して会場まで辿り着けるよう、住所以外に電話番号も明記しておくとより丁寧です。他にも、会場付近の地図を添付したり、駅から徒歩○分といった情報を付け加えたりするのも良いでしょう。
④食事(お斎)について
一周忌法要の後に食事(お斎)を行う場合は、案内状にその旨を記載します。法要と食事の会場が異なる場合は、住所や電話番号に加えて、可能であれば簡単に道案内なども記載しておくと安心です。
⑤差出人の住所・氏名
法要・法事の日程を記した後には、差出人の住所や氏名を記載します。一周忌の案内状における差出人は、一般的に施主となる場合が多いです。
またスケジュールの変更など何らかの事情により、施主と参列者が連絡を取り合うこともあるかもしれません。すぐに連絡を取り合えるよう、念のため電話番号も記載しておくと良いでしょう。
⑥宛名・宛先
案内状の宛名・宛先は、法要にお招きする予定の方の氏名を、敬称を添えて書きます。なお、ご夫婦宛ての場合には連名にし、ご家族宛ての場合には世帯主様の横に「皆様」と添えても問題ありません。
⑦返信依頼
案内状には、出欠の確認をとるために返信依頼の内容も記載します。書くべき内容は、以下のとおりです。
<返信依頼において書く内容>
●返信先の住所・氏名
●電話番号
●返信期限
また、施主やご遺族は返信をお願いする立場であるため、先方に配慮して返信用はがきを同封するのがマナーです。ただし、往復はがきを用いる場合は、返信用はがきを同封する必要はありません。
一周忌の案内状の例文
続いて、一周忌の案内状の例文を見ていきましょう。本記事では、一般的な例文と身内のみで行う場合の例文の、2つに分けてご紹介します。
一般的な例文
一周忌法要に際して、故人様のご友人やお知り合いをお招きする場合は、以下のような形で案内状を作成します。
【一般的な例文】
謹啓 ○○の候 皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
この度亡父○○の一周忌にあたり 法要を営みたいと存じます
つきましては ご多用中誠に恐縮ではございますが ご臨席賜りますようご案内申し上げます
敬具
日時 令和○○年○月○日(○曜日)○時○分より
会場 ○○
住所 ○○県○○市○○町○○
電話番号 ○○○-○○○-○○○○
※尚 法要後は供養の粗宴をご用意いたしております
令和○○年○月○日
住所 ○○県○○市○○町○○
電話番号 ○○○-○○○-○○○○
(差出人の氏名)
※お手数ではございますが ○月○日までにご返信にてご都合をお知らせください
使用する言葉や文章の書き方は異なるものの、記載する内容については概ね上記の例文のとおりです。前述のとおり、法要と食事(お斎)を行う場所が異なる場合は、その旨と会場に関する情報を明記するようにしてください。
身内のみで行う場合の例文
一周忌法要を身内のみで行う場合の例文は以下のとおりです。
【身内のみで行う場合の例文】
謹啓 ○○の侯 皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます
月日が経つのは早いもので まもなく亡父○○の一周忌となります
本来ならば皆様にご臨席賜るところではございますが、誠に勝手ながらこの度の法要につきましては家族のみでささやかに営みたいと存じます
誠に恐縮ではございますが 私共家族の意にご理解いただければ幸いでございます
本日までの一年間 皆様から賜りましたご厚情に深く感謝しますとともに、今後とも変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます
最後になりますが 皆様のご健勝を御祈念いたしまして書状にてお知らせいたします
敬具
令和○○年○月○日
住所 ○○県○○市○○町○○
○○(差出人の氏名)
上記の例文は、一周忌法要を事前に知らせる場合のものですが、法要を終えた後に挨拶状で報告するケースも多いです。しかし、事後報告を受けて寂しさを感じる方もいらっしゃるので、特に血縁の濃い方には、電話などで予め連絡しておくことをおすすめします。
【仏式以外】一周忌の案内状の例文
仏式以外の場合でも、一周忌の案内状を送ることがありますが、記載する内容は大きく変わりません。以下では、神式とキリスト教における例文をご紹介しますので、該当する方はご一読ください。
神式での例文
仏式と同様に神式でも、故人様が亡くなってから1年目の命日に法要(一年祭)を執り行います。神式での一般的な例文は、以下のとおりです。
【神式での例文】
謹啓 ○○の候 益々ご清祥のこととお慶び申し上げます
月日が経つのは早いもので この度故○○の一年祭を迎えることになりました
つきましては 左記の日時にて式年祭を執り行いたいと存じます
ご多用中誠に恐縮ではございますが ご臨席を賜りますようご案内申し上げます
敬具
日時 令和○○年○月○日(○曜日)○時○分より
会場 ○○
住所 ○○県○○市○○町○○
電話番号 ○○○-○○○-○○○○
※尚 霊際後に粗宴をご用意いたしております
令和○○年○月○日
住所 ○○県○○市○○町○○
電話番号 ○○○-○○○-○○○○
○○(差出人の氏名)
※お手数ではございますが ご出席の有無を○月○日までにご一報いただけますと幸いです
神式の場合も頭語・結語を使用し、文のはじめに時候の挨拶を添えるのが基本です。上記はあくまで一例ですので、先方への配慮を心掛けながら、それぞれの言葉でお知らせしていただければと思います。
キリスト式での例文
キリスト教では、仏式の法要・法事に相当する追悼行事が行われます。カトリックの場合は「追悼ミサ」、プロテスタントの場合は「記念集会」というように、宗派によって集いの内容は異なりますが、案内状の書き方はほとんど変わりません。
以下、キリスト式での例文になりますので、一例としてご参照ください。
【キリスト式での例文】
故○○が神に召されてから 一年が経とうとしています
つきましては 生前お世話になりました皆様への感謝の意味を込めまして
○月○日○時から 故人を偲ぶ追悼ミサ(記念集会)を行うこととなりました
ご多用とは存じますが 是非ご来席いただきたくご案内申し上げます
日時 令和○○年○月○日(○曜日)○○時○○分より
会場 ○○
住所 ○○県○○市○○町○○
電話番号 ○○○-○○○-○○○○
尚 ささやかではございますが 追悼ミサ(記念集会)終了後○○にてお茶会を予定しております
令和○○年○月○日
住所 ○○県○○市○○町○○
電話番号 ○○○-○○○-○○○○
○○(差出人の氏名)
※お手数ではございますが ご出席の有無を○月○日までにご一報いただけますと幸いです
キリスト教の場合、集会後にお茶会を開くのが一般的です。追悼行事の日程だけではなく、お茶会の内容にも触れることで、参列者の方により配慮した案内状になります。
一周忌の案内状を書く際の注意点
一周忌の案内状は、書き方によっては先方を不快な思いにさせてしまう場合もあるため、注意が必要です。ここからは、注意すべき2つのポイントについて解説していきます。
句読点を使わない
一周忌の案内状は、句読点を使わずに作成するのが基本です。文中に句読点を使わない理由は諸説あり、そのひとつとして「儀式の進行が止まらないことを願うため」という説があります。
しかしながら、文字のみを羅列することにより、読みにくい印象を与えてしまうことも少なくありません。先方に配慮して文章を読みやすくしたい場合は、読点の代わりとして1文字分のスペースを空けることをおすすめします。
参加人数の記入欄をつくる
一周忌法要を執り行うにあたって、施主は参列者の人数を把握しなければなりません。正確な人数を把握するためには、案内状に人数の記入欄を設けるのが賢明です。
また、一周忌法要にはご家族で参列する方もいらっしゃいます。複数人で参列する方に配慮し、「○○名様」という記入欄をつくることで、より丁寧な印象を与えられます。
一周忌の案内状を送る際のマナー
最後に、一周忌の案内状を送る際の3つのマナーについて解説します。スムーズに準備を進めていくためにも、この機会に最低限のマナーを把握しておきましょう。
返信用のはがきを同封するか、往復はがきを使う
一周忌の案内状では、返信用のはがきを同封するか、往復はがきを使うのが一般的なマナーです。施主やご遺族は法要にお招きする立場であり、また参列者の人数をスムーズに把握する必要があるため、先方がすぐに返信できるような配慮が求められます。
本来、案内状を封筒に入れて発送するのが正式な方法ですが、往復はがきを使ってもマナー違反にはならないのでご安心ください。
二重封筒を使わない
二重封筒は「繰り返す」という意味を感じさせるため、一周忌の案内状を入れる封筒としては相応しくありません。法要・法事の場においては「縁起が悪い」と考えられているので、使用するのは避けましょう。
一周忌法要の1ヶ月前までに送る
案内状は、一周忌法要の1ヶ月前までに送るのがマナーです。残り1ヶ月を過ぎてからでは、多くの方がスケジュール調整に苦労してしまうため、予定が合わせやすい1ヶ月前までを目安に送るようにしましょう。
また、法要後に会食(お斎)を行う場合、人数に合わせて席や食事を用意しなければなりません。スムーズに準備を進めるためにも、時間に余裕を持って案内状を送ることが大切です。
まとめ
一周忌の案内状は、法要の開催をお知らせするための大切な書状であり、事前に把握しておくべき作法がいくつか存在します。本記事でご紹介した例文やマナーを参考に、正しい方法で案内状を作成してみてください。
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