バルーン葬とは|違法ではないの?かかる費用や流れも解説
日本では亡くなった後に埋葬されるのが一般的です。しかし、近年は「自然に還りたい」という想いを叶えるため、散骨を希望する方が増えています。なかでも新たな葬法として注目を集めているのが「バルーン葬」です。
本記事では、バルーン葬がどのようなものなのか分かりやすく解説します。気になる費用の目安や基本的な流れについてもご紹介しますので、バルーン葬について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
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バルーン葬とは?
バルーン葬とは、故人様のご遺灰やご遺骨を納めたバルーン(風船)を、成層圏にまで飛ばして散骨するという葬法です。自然葬の一種であり、大空(宇宙)に散骨することで魂が自然に還ると考えられています。
壮大な大空がお墓の代わりとなり、どこからでも故人様を偲ぶことができるのは、バルーン葬の大きな特徴といえるでしょう。なお、すべてのご遺骨を散骨する必要はないため、手元供養を検討している方も安心です。
バルーン葬は違法ではない
法務省や厚生労働省は、散骨について「海、山への葬送は、節度ある方法であるならば法律に触れることはなくご遺灰を撒くことを禁ずるものではない」との見解を示しています。つまり、バルーン葬は違法ではなく、処罰の対象にはならないのです。
ただし、ご自身の所有地以外で許可なく打ち上げたり、航空機の運航に支障をきたしたりした場合は、処罰の対象になるので要注意です。また、過去には散骨が原因で周辺住民とのトラブルに発展した事例もあるため、専門家に相談したうえで執り行うことを強くおすすめします。
バルーン葬にかかる費用相場
選択する業者やプランにもよって異なるものの、バルーン葬にかかる費用相場はおおよそ300,000円です。こちらの費用相場は、ご遺骨を粉砕する費用とバルーンの打ち上げ費用を合わせた金額になります。
なお、墓石と墓地を購入する場合、1,000,000円ほどの費用がかかることも珍しくありません。以上の点から、バルーン葬は費用面が気になる方にもおすすめできる供養方法といえます。
バルーン葬のメリット
従来の埋葬方法とは大きく異なるバルーン葬には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。以下では、バルーン葬のメリットを3つご紹介します。
①故人様の遺志を尊重できる
現代の日本は埋葬方法が多様化しており、「自然に還りたい」という想いから自然葬を希望する方が増えています。上記のような故人様の遺志を尊重できるのは、バルーン葬の大きなメリットです。
特にバルーン葬は、大空への憧れが強い方や、空にまつわる仕事をされている方から注目を集めています。生前に空や宇宙が好きであった方には、理想的な葬法といえるでしょう。
②宗教や宗派のしがらみがない
宗教や宗派のしがらみがないこともバルーン葬のメリットです。従来の埋葬方法では、信仰する宗派・宗教が異なると、同じ場所で眠ることが非常に難しくなります。
しかしバルーン葬であれば、親しい方と離れることなく自然に還ることが可能です。これまでの葬法にはないロマンを感じられるところも、特筆すべきメリットとして挙げられます。
また、宗教・宗派のしがらみがないことから、故人様をお見送りするご遺族も精神的な負担が少ないです。さらに参列する際の服装は自由ですので、より明るい気持ちで大空へと送り出せるでしょう。
③お墓の管理が不要である
バルーン葬は、空中で散骨する葬法であるため、お墓の管理が不要になります。そのため、お墓の管理にかかる費用や手間を考慮し、ご家族に迷惑をかけたくないという考えからバルーン葬を希望する方も少なくありません。
また、近年は少子高齢化などの社会的背景から、「お墓の管理を継続するのは難しい」と判断される方も多いです。無縁墓になる心配がないことも、従来の埋葬方法にはないメリットといえるでしょう。
バルーン葬を執り行う際の注意点
バルーン葬にはさまざまなメリットがある一方、いくつか注意すべきポイントもあります。トラブルなく故人様をお見送りするためにも、この機会に注意点も把握しておきましょう。
①迷惑にならない場所から気球を打ち上げる
バルーン葬をはじめとする散骨には、周辺住民とのトラブルに発展するリスクが潜んでいます。違法性はないものの、散骨により地域の方の気分や利益を害するおそれがあるため、迷惑にならない場所から気球を打ち上げることが最低限のマナーです。
また他人の所有地で許可なく打ち上げるのは処罰の対象となり、散骨自体を禁止している地域があることも忘れてはなりません
②ご遺族の同意を得る
日本では埋葬という風習が根付いています。そのため散骨のほか、お墓を持たないといった選択に抵抗感を覚える方も少なくありません。このような背景があることから、バルーン葬を行う場合は、ご遺族の同意を得ることが必要不可欠といえます。
また、すべてのお骨を散骨してしまうと、当然ながら手元供養を行うことができなくなります。後々ご家族の間で揉めることがないよう、事前に話し合いをしたうえで最善の方法を選択しましょう。
バルーン際を行う方はどんな方?
一般的に、バルーン葬は故人様が生前に希望していた場合に執り行われるケースが多いです。具体的には、以下のような方がバルーン葬を希望する傾向が見られます。
<バルーン葬を利用する方の特徴>
・空や宇宙への関心が強く、自然の一部になりたいと考えている人
・自由な発想を持っており、従来の埋葬方法にこだわりがない人
・特定の宗教・宗派を信仰しておらず、お墓に入ることに執着がない人
・空から大切なご家族や愛する人を見守りたいと願う人
・ロマンを感じられる方法で旅立ちたいと考えている人
上記の特徴を持つ方は、バルーン葬を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
バルーン葬の流れ
最後に、バルーン葬の流れについて解説していきます。業者によってやり方は異なるものの、基本的な流れは以下のようになります。
①申込み
まず、専門業者に連絡をしてバルーン葬を申し込みます。打ち上げ場所をはじめ、料金体系やプラン内容などを比較検討し、納得できる業者に依頼しましょう。
②打ち合わせ
依頼する業者を決めた後は、担当者とバルーン葬の方法について打ち合わせを行います。主な方法として以下の3つがあるため、それぞれの状況や環境を考慮して選択しましょう。
<バルーン葬の執り行い方>
・業者にすべて委任する(専門業者が用意する場所まで実施)
・ご遺族が打ち上げに立ち会う(専門業者が用意する場所まで実施)
・ご遺族が指定の場所で執り行う(専門業者も同行)
散骨場所にこだわりがなければ、「業者にすべて委任する」「打ち上げに立ち会う」の2つが候補になります。また、打ち上げ場所にこだわりがある方は、3つ目の「ご遺族が指定する場所で執り行う」という方法を選ぶと良いでしょう。この場合、専門業者の出張費用は請求されるものの、移動にかかる費用や負担を減らすことができます。
③打ち上げ
準備が完了して予定日を迎えたら、いよいよバルーン葬の打ち上げです。スタッフの指示に従いながらセレモニーを行い、故人様のご遺灰やご遺骨を納めたバルーンを大空(宇宙)に飛ばします。
④散骨
成層圏に突入するとバルーンが破裂し、大空(宇宙)の中でご遺骨が散骨されます。後日、業者よりバルーン葬の「実施証明書」が送付されるので、忘れずに確認するようにしてください。
まとめ
埋葬方法が多様化している昨今、自然葬の一種である「バルーン葬」が注目を集めています。ロマンを感じられるだけではなく、ほかの葬法に比べて費用が安いため、今後希望者が増えていくと予想されています。
ただし、バルーン葬は「空中で散骨する」という特徴から、周辺住民などへの配慮が必要です。トラブルなく故人様をお見送りするためにも、最低限のマナーを把握したうえで執り行うようにしてください。
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