遺影の置き場所はどこが良い?避けるべき場所、飾る際の注意点を解説
遺影とは、故人様を偲ぶために作成された肖像画や写真のことです。遺影はお通夜やご葬儀で飾られますが、儀式が終わった後どのように保管すれば良いのか、また正しい設置方法が分からず飾り方に迷う方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、遺影の設置に適した場所や注意点について解説していきます。
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遺影の置き場所はどこが良い?
結論から申し上げますと、遺影には宗教的な意味合いがなく、置き場所に厳密な決まりはありません。しかしながら、残されたご家族のためにも、適した場所へ遺影を置くべきでしょう。
ここでは、遺影を置くに好ましい場所や、飾る時期について触れていきます。
四十九日までは後飾り祭壇に置く
ご遺体の火葬が終わり、ご遺骨や遺影をご自宅へ持ち帰り、「後飾り祭壇(あとかざりさいだん)」に飾っておくという習慣があります。なお、関西地方では中陰壇(ちゅういんだん)と呼ばれています。
後飾り祭壇とは、ご遺骨や遺影を一時的にお祀りするための壇のことです。忌明けまでの間、ご家族が故人様を供養したり、忌問客にお参りいただいたりする大切な場所となります。
後飾り祭壇に飾った遺影は、忌明けの四十九日法要まで飾るのが一般的です。宗教でそれぞれ決められた期間を過ぎた後は、遺影を使用することがなくなります。この時点で遺影を処分しても問題ありませんが、気持ちの整理がつかず処分することができない場合は、ずっと飾ったままにしていても問題ありません。
遺影の好ましい置き場所① 仏間、仏壇の近く
遺影の置き場所で一般的なのは、仏間もしくは仏壇の近くです。仏壇と同じ部屋に遺影があれば、仏壇に手を合わせる際に、遺影にも目が行き届きやすくなるので供養するのに適しています。
遺影の好ましい置き場所② 床の間
遺影の置き場所で次に挙げられる最適な場所は、床の間です。昔から、床の間は身分の高い者が腰かけるという習慣が根付いているため、現代においても家の中で一番格式が高い位置とされています。
遺影の好ましい置き場所③ 鴨居
遺影の飾り場所として、鴨居を選ぶのも好ましいといわれています。鴨居とは、障子やふすまの引き戸上に取り付けられた上枠(横木)です。鴨居に取り付けられた金具を使用して遺影写真を吊すように飾ることで、「故人様が空から見守ってくださる」といった言い伝えがあり、この風習が生まれました。
遺影の置き場所として避けるべきなのは?
置き場所に決まりのない遺影ですが、設置場所によってさまざまな不都合や不便が生じることも覚えておきましょう。ここでは、遺影を置くのに適していない場所をご紹介します。
避けるべき場所① 高温多湿な場所
湿気の多い水回りなどの高温多湿な場所は、遺影を置く場所として不適切です。なぜなら、遺影にカビが生えてしまうと除去が難しいからです。カビの心配をせずにすむ、風通しの良い場所を選べば、遺影を長く保管できます。
避けるべき場所② 直射日光が当たる場所
遺影の設置に適さない環境として、直射日光が当たる場所も挙げられます。直射日光から受ける紫外線には漂白または殺菌の作用があるため、写真の劣化が早まってしまいます。西日が強く当たる場合は、窓際には特に注意しましょう。
避けるべき場所③ ほこりがたまりやすい場所
次に設置に、注意すべき場所として挙げられるのが玄関です。玄関は人の行き来が多いため、ほこりが立ちやすく、遺影が汚れやすくなります。また、風水の観点からも玄関へ遺影を置くのは縁起が悪いとされているため、設置は避けるのが無難です。
避けるべき場所④ 仏壇の上
遺影を仏壇の上へ設置するのも推奨できません。なぜなら、仏壇の中にはご本尊が祀られているからです。ご本尊の上に故人様を乗せるという形は、ご本尊に対して失礼にあたるため注意が必要です。他に場所がないという場合は、ご本尊と遺影の位置をずらすなどの工夫を行ってみましょう。
仏壇の中へ遺影を設置するのも、大きさや見栄えの観点から推奨できません。
遺影を置く際の注意点
遺影の設置には、環境面や宗教的な考え方・見栄え・防災など、さまざまな観点での注意点があります。さっそく確認してみましょう。
宗派によって適切な置き場所が異なる
遺影を設置する際、方角に対する考え方が宗派によって違う場合があります。例えば、真言宗では拝む先に総本山がある方向、曹洞宗では南向きが好ましいなどです。菩提寺によって考え方がさまざまですので、設置場所に迷った場合は僧侶に相談してみましょう。
倒れやすい・落ちやすい場所には置かない
遺影を飾る際には、地震や洪水による災害、人がうっかり当たったときなどに落下しないよう、固定する必要があります。怪我の危険はもとより、落下によるフレームの破損も縁起が悪く感じ、けっして気持ちの良いものではありませんので、設置の際にはしっかり対処しましょう。
神棚より低い場所に飾る
日本人の宗教的な感覚として、神道を重んじる考えがあります。そのため、遺影や仏壇と神棚が同じ部屋にある場合は、神棚が一番高い位置にくるように考えて設置しましょう。
遺影の置き場所がない場合の対処法
法事やご葬儀以外での遺影の置き場所に困る方も多いのではないでしょうか。ここでは、遺影の置き場所がない場合の対処法についてご説明いたします。
小さいサイズにプリントして飾る
大きな遺影の置き場所にお悩みでしたら、写真の大きさをリサイズして飾ることもできます。遺影のサイズが小さくなれば、保管場所や飾る場所の選択肢が増えるのでおすすめです。
また、元の写真をどうするかに決まりはありません。宗教的な意味合いもないので、処分方法は個人の判断に委ねられます。葬儀社によっては一連の儀式後(忌明けのタイミング)に遺影を引き取ってくれるサービスがありますし、自治体のルールに沿い通常の不用品として処分しても問題ありません。
通常のゴミとして出すことに抵抗がある場合は、塩を撒き紙に包むなどのお清めをしてから処分しても良いでしょう。ただし遺影を勝手に捨ててしまうと、ご家族の間でトラブルに発展する恐れがあります。処分方法は独断で決めず、ご家族やご親族と相談のうえ、決定しましょう。
デジタルフレームを活用する
遺影をデータ化してスマートホンやPCに保存する方法もあります。いつでもお好きなタイミングで故人様のお写真を眺められるところが利点です。
デジタル画像の表示に特化したツール(デジタルフォトフレーム)の活用も便利です。デジタルフォトフレームは、登録した写真データを1つのフレームで順番に映してくれます。沢山の写真で仏壇の周りのものが多くなってしまっている場合も、1つのフレームでスッキリとまとめられるのでおすすめです。
仏壇の近くにしまっておく
遺影の置き場所に困った場合は、普段は仏壇の近くに収納しておきましょう。仏壇の近くに収納しておけば、法事やお盆の時期にすぐに出せるので便利です。
仏壇の近くに収納場所がない場合は、クローゼットなどで保管しておいても問題ありません。額縁から写真だけを取り出し、アルバムの中に収めれば他の写真と同様に収納できます。
供養のうえ引き取ってもらう
遺影を飾らない場合は、神社や寺院に引き取っていただくという方法もあります。供養を依頼された神社仏閣は、神主の祈祷や僧侶の読経で遺影を清め、お焚き上げを行います。料金は発生しますが、気持ちよく処分できるでしょう。
寺院へ供養を依頼するときは、菩提寺でなくても対応してもらえます。葬儀社へ相談したり検索機能で調べたりして、遺影の供養を行ってくれる寺社を探してみましょう。
遺影の置き場所に関するよくある質問
ここからは、遺影の置き場所に関する「よくある質問」に対しての回答をまとめてありますので、ご参照ください。
位牌や遺骨も遺影と同じ場所に飾るべき?
位牌・遺骨・遺影などを飾るために、葬儀社のスタッフがご自宅に「後飾り祭壇」をセットしてくれますので、飾り方についての心配は基本的に不要です。後飾り祭壇の種類にもよりますが、仏式の後飾り祭壇では、最上段に遺骨、中段に遺影や供花、下段に位牌や香炉、ろうそく、おりんが設置されます。
遺影の置き場所は風水(方角)を意識するべき?
遺影を飾るときに設置するの方角を気にされる方も多いでしょう。しかし仏教的な観点から遺影には魂が込められておらず、宗教的な意味合いもないため、基本はどの方角で飾っていただいても問題はありません。
ただしどうしても気になってしまう場合は、一般的に良いとされている南向き、または東向きの方角を基準にすると良いでしょう。
遺影は洋室に置いても良い?
近年では自宅に和室のない家が増えていますので、洋室に遺影を置いても問題ありません。ただし、遺影の写真はデザイン的に洋室になじみにくいものが多いため、洋室の雰囲気に合うような遺影を作成するという方法もあります。
まとめ
遺影は、二度と逢うことのできない故人様の面影を映し出し身近に感じるための大切なツールです。飾り方について明確な決まりはありませんが、知っておくべき注意点やポイントを抑えておくだけで、スマートな飾りつけを行うことができます。
ご葬儀が終わった後も、穏やかな気持ちで故人様の面影に寄り添えるよう、この記事をお役立ていただければ幸いです。
間違えのない葬儀社の選び方や注意点をはじめ、さまざまな葬儀の知識・マナーを分かりやすくお伝えします。