お通夜の目覚ましとは?渡すものや金額相場、マナーまで詳しく解説
ご葬儀やお通夜は、各地域の風習によって独自の作法が残っているケースも多いです。その中には「目覚まし」という風習があり、主に九州地方のお通夜で見られます。今回は、一部地域で受け継がれている目覚ましについて解説していきますので、気になる方はぜひ読んでみてください。
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お通夜の目覚ましとは?
目覚ましとは、お通夜の際に参列者が食べ物や飲み物を持ち寄る風習です。通夜に臨むご遺族のために行われてきたもので、現在も九州の一部地域で大切に受け継がれています。まずは、目覚ましがどのような風習なのか、目覚ましの意味や由来、香典との違いについて見ていきましょう。
目覚ましは九州地方のお通夜における習慣
目覚ましとは、九州地方のお通夜で行われている風習のひとつです。かつて一部地域では、「不幸があった家では、煮炊きをしてはいけない」とされていました。そのため、「空腹でお通夜をするのはかわいそう」と、近隣住民がご遺族に飲食物を渡したのが目覚ましの由来といわれています。
元々は熊本発祥でしたが、現在では九州の広い地域で目覚ましが行われています。しかし、近年は食べ物ではなく金銭を包んで目覚ましとするケースも増えました。以前のように夜通し火を守る通夜が減り、半通夜など短い通夜が増えたためといわれています。
目覚ましには3つの意味がある
お通夜では、線香の火を絶やさないよう、ご遺族が交代で寝ずの番を行うのが昔からの慣わしでした。そのため、目覚ましには「ご遺族が寝てしまわないように」という意味が込められているといわれています。また、「故人様にもう一度目覚めてほしい」「仏法に目覚めてほしい」といった願いも込められているとされており、解釈も人によってそれぞれ異なります。
香典との違い
香典は、線香の代わりとして霊前に供えるものとして持参する金銭です。対して、目覚ましはご遺族にお渡しするために用意します。このように異なる意味を持っているので、目覚ましを金銭で渡す場合は、香典と同じ袋に入れないよう注意しましょう。
また、目覚ましは必ず持参するものでもありません。忘れてしまった場合は香典のみを渡しても構いませんが、目覚ましを用意して香典を用意しないのは失礼にあたります。目覚ましは、あくまでご遺族に対する差し入れだということを忘れないようにしましょう。
お通夜の目覚ましで渡すもの
目覚ましで持参する代表的なものは、以下の3点です。
・お菓子
・お酒
・お金
それぞれ、どのようなものを用意するべきかについて解説していきます。
お菓子
お菓子を用意する場合は、軽くつまめる軽食が望ましいです。よく選ばれるのは、和菓子・焼き菓子・チョコレートなどで、特に日持ちするものが好まれます。
お酒
食べ物ではなく、お酒を持参する場合も多いです。また、お酒の種類に特に決まりはないですが、焼酎が選ばれることが多いようです。
お金
近年は、飲食物ではなくお金で用意するケースも多くなりました。もしお金で用意する場合は、新札を避けるのがマナーです。新札を用意すると「死を予兆していた」と取られてしまうため、できるだけ古いお札を使うようにしてください。
お通夜の目覚ましに関するマナー
お通夜の目覚ましには、表書きの書き方や渡し方など細かなマナーが存在します。ご遺族や親族に失礼がないよう、お渡しする前に大事なポイントを把握しておきましょう。
金額相場
目覚ましの金額相場は1,000~3,000円ほどとされています。元々は飲食物を作って用意する慣習だったため、あまり高価なものを購入する必要はありません。また、金銭を包む場合においても同じです。
不祝儀袋の選び方
目覚ましを包む際は、不祝儀袋を用意します。また、水引は黒白の結び切りを選びましょう。一般的に、5,000円以下の金額を包む場合はプリントアウトされたもの、10,000円以上であれば実物の水引が結ばれている不祝儀袋が良いとされているので、目覚ましの場合はプリントアウトされたもので問題はありません。
表書きの書き方
目覚ましを用意する際、表書きは「御目覚まし」と記載します。ただし、地方によっては「お目覚まし」「お目覚まし料」とする場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。また、水引の下には氏名を記載し、裏面には住所も書きましょう。
また、表書きを書く際は筆と薄墨を使いましょう。薄墨には「悲しみの涙で墨が薄まった」「突然の訃報で墨を擦る時間がなかった」といった意味が込められています。
お札の入れ方
お金で渡す場合は、お札の向きにも注意が必要です。弔事の場合、「悲しみの場では顔を伏せる」といった意味から、お札の肖像画が描かれている面は、封筒の裏面を向くようにして入れます。婚礼などの慶事と反対なので、注意しましょう。
目覚ましの渡し方
目覚ましは受付でお渡しします。先に香典を出し、その後に目覚ましを渡すのがマナーです。地域によっては、香典と目覚ましの受付が別に用意されていることもあります。
また、目覚ましは香典と同じように袱紗に包んで持ち歩きましょう。袱紗から取り出すのは渡す直前となっています。袱紗がない場合は、ハンカチなどで代用しても問題はありませんが、その際は明るい色を避け、黒や紺などの暗い色を選びましょう。
まとめ
目覚ましとは、熊本を中心に九州地方で受け継がれている風習のひとつです。「ご遺族が眠気に負けて線香の火を絶やさないように」「仏法に目覚めてくれるように」といった願いや気持ちを込めつつ、ご遺族に食べ物や飲み物を差し上げます。しかし、現代では金銭を包むことが多くなりました。
どちらの場合でも、目覚ましを行う意味を知っておくのは大切です。目覚ましを用意する際には「なぜ目覚ましが行われるようになったのか」といった意味を理解し、心を込めて渡すようにしましょう。
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