開眼供養(開眼法要)とは?行うタイミングや費用相場、マナーまで詳しく解説
お墓や仏壇を新しくした際には、魂を入れる開眼供養(開眼法要)を行います。ご葬儀よりも参列する機会の少ない法要ですので、どのような準備が必要なのか、お布施はいるのかなど疑問に思う方も多いでしょう。
今回は、開眼法要の準備の仕方や当日の流れ、参列時のマナーなどについて解説していきます。大切な法要を滞りなく終えるためにも、本記事を参考にしていただけると幸いです。
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開眼供養(開眼法要)とは?
開眼供養(開眼法要)とは、お墓を新しくした際に執り行う法要です。墓石に魂を入れるために行われるため、「入魂式」とも呼ばれています。また、開眼供養は仏壇を新しく用意した際にも必要であり、仏教行事において大切な意味を持つ法要ですが、なかには「開眼」の考え方がない宗派も存在します。
開眼とは?
お墓や仏壇に魂を入れる行為を、仏教では「開眼」といいます。正しい読み方は「かいげん」で、「かいがん」ではありません。元々は、仏像の製作過程で最後に目を入れていたことが由来となっており、「仏の目を開く」が現在の魂入れにつながっています。
開眼供養の由来
言葉の由来は先述したとおりですが、法要自体は奈良県東大寺が最初といわれています。752年4月に行われた「開眼供養会(かいげんくようえ)」が最初の開眼供養です。
本来の「仏像に魂を入れる(目を開く)」とした意味では、南インド出身の僧侶が東大寺の大仏に魂を入れる儀式をしたとされています。これらの歴史から、日本では古くから「開眼(魂入れ)」の考えを大切にしてきたということが分かります。
開眼供養はどんなときに行う?
開眼供養は大切な仏教行事のひとつとして扱われていますが、具体的にどのようなときに行うものなのでしょうか。開眼供養を実施するタイミングについて、以下の項目で詳しく解説していきます。
開眼供養を行うタイミング
一般的には、四十九日や一周忌など、参列者が集まるタイミングに併せて開眼供養を行うケースが多いです。また、お彼岸やお盆などに行う方もいらっしゃいます。そのほかのタイミングとしては、お墓を建立した際や、仏壇を購入したときなどが挙げられますが、特に決まりはありません。
開眼供養は行わない場合もある
仏教では、ほぼすべての宗派で開眼供養を行います。しかし、浄土真宗では「魂を入れる」といった概念がそもそもないため、開眼供養は執り行いません。ただし、似たような儀式として「御移徙(おわたまし、ごいし)」が行われます。
ほかにも、仏壇を別の部屋に移す際など、ご本尊を家の中で移動させる分には開眼供養は執り行いません。ただし、ご本尊の住所自体を変える場合は、魂を抜く「閉眼供養」と、引越し先で新たに魂を入れる「開眼供養」が必要です。
開眼供養にかかる費用の内訳・相場
開眼供養には、以下のような費用が必要です。
お布施 | 30,000~50,000円 |
御車代 | 5,000~10,000円 |
御膳料 | 5,000~10,000円 |
石材店へのお礼 | 10,000円前後 |
開眼供養におけるお布施の相場は30,000~50,000円とされています。お墓の開眼法要と納骨式(納骨法要)を同時に行う場合は、40,000~100,0000円を包むようにしましょう。
また、「御車代」とは僧侶の交通費のことで、相場は5,000~10,000円ほどとされています。ただし、お墓に対する開眼供養で、寺院境内の墓地に墓を建立した場合は包まなくても問題はありません。僧侶に御足労いただいた際に用意しましょう。
また、開眼供養を執り行った後、参列者への感謝と労いの気持ちを込めてお斎と呼ばれる会食を開くことが多いです。御膳料は、僧侶がお斎を辞退した際にお渡しする食事代のようなもので、相場は5,000~10,000円とされています。
なお、お墓に対する開眼供養で墓石に名前を彫った場合は、石材店へのお礼も用意します。人によって異なりますが、10,000円ほどが相場です。
開眼供養の準備
開眼供養の準備は、以下の流れで行うと当日までスムーズに進みます。
①お墓を用意する
まず、開眼供養までにお墓を用意します。墓地を購入し、石材店にお墓の依頼を行います。お墓は注文したらすぐにできる物ではないので、余裕を持って連絡しておきましょう。
②日程を決める
次に、開眼供養の日程を決めます。日程に決まりはないので、都合の良いタイミングで行いましょう。
③僧侶を手配する
日程が決まったら、僧侶に連絡して開眼供養の依頼をしましょう。
④参列者へ案内状を送付する
開眼供養の予定が決まったら、参列してほしい方々に案内状を送付します。開眼供養は、近親者や親しくしていた友人などと少人数で行う場合が多いです。
⑤お斎の手配をする
案内状の送付が終わった後は、法要後に行うお斎の手配を進めます。会場は、近所の料亭やホテルなどがよく選ばれます。
⑦返礼品の用意をする
最後に、開眼供養に参列していただいた方に渡す返礼品を用意します。
開眼供養当日の流れ
開眼供養当日は、以下のような流れで進みます。地域によっては多少前後する可能性があるので、あくまでも目安のひとつとして参考にしてみてください。
①お墓をきれいにする
開眼供養の前に、お墓をきれいに掃除します。故人様のご遺骨が入る場所ですので、きちんと整えるのがマナーです。
②お墓にサラシを巻く
お墓にサラシを巻きます。これは、まだ魂の入っていないお墓に悪い気が入らないようにするための儀式です。
③お供え物を用意する
お墓の前に祭壇を用意し、供花などを供えます。多くの場合、お墓を依頼した石材店の方が用意してくれます。
⑤僧侶による読経
寺院などで読経した後、お墓の前でさらにお経をあげてもらいます。
⑥サラシを外す
喪主によってサラシが外されます。これは「除幕」とも呼ばれており、外すタイミングは地域や宗派によってさまざまです。
⑦ご遺族、参列者による焼香
ご遺族、参列者が順に焼香を行います。
⑧僧侶へお布施を渡す
開眼供養が終わり、僧侶が去るタイミングでお布施をお渡しします。
⑨お斎
最後にお斎が開かれます。僧侶がお斎に参列しない場合は、お布施を渡すタイミングで御膳料も渡しましょう。
開眼供養に関するマナー
開眼供養も大切な仏教儀式ですので、参列する際はマナーや配慮が必要です。特に服装は、開眼供養のみ場合と、納骨式を併せて執り行った場合でマナーが異なるため注意しましょう。
服装
開眼供養の服装は、納骨式を併せて執り行うかでマナーが異なります。開眼供養のみの場合、慶事として取り扱われるため喪服は着用しません。黒や紺など、なるべく落ち着いた色合いの清楚な装いを心がけましょう。
納骨式を併せて執り行う場合は弔事とされるため、喪服を着用します。ご葬儀と同じように靴下や靴などの小物はすべて黒で統一し、アクセサリー類は結婚指輪以外控えるようにしましょう。
お供え物
開眼供養では、五供と呼ばれるお供え物のほかに、故人様の好きだったものを用意するケースが多いです。五供とは、「香」「花」「灯燭」「浄水」「飲食」の5つを指し、仏教の法事・法要ではよく用いられるお供え物です。
挨拶
開眼供養のみを執り行う場合は慶事として扱われるため、「おめでとうございます」と挨拶するのがマナーです。一方、納骨式を併せて執り行う場合は、ほかの法要と同じようにお悔やみの言葉をかけましょう。
お返し
開眼供養でお祝いをいただいた場合は、金額の半分~3分の2程度の品物をお返しします。その際、表書きは「御礼」「内祝い」とするのがマナーです。品物は消え物を用意するのが一般的ですが、近年はカタログギフトを贈る方も増えてきています。
まとめ
開眼供養(開眼法要)とは、お墓や仏壇の本尊に魂を入れるための儀式です。執り行うタイミングに決まりはありませんが、四十九日法要や一周忌と併せて執り行う方が多くいらっしゃいます。喪主・参列者どちらの立場であっても失礼がないよう、事前に大事なマナーやおおまかな流れなどを把握しておくようにしましょう。
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