自宅に焼香台を設置する方法とは?おもてなしの仕方、焼香に伺う際のマナーも解説
法要の際に使用される仏具のひとつに「焼香具」があります。読経の際にしか登場しないため、「ご葬儀のときに使用するもの」といったイメージが強いですが、実は日常の供養でも使用が可能です。しかし、線香や数珠と比べてあまりなじみがないものでもあり、「種類や選び方が分からない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
今回は、焼香具の種類や選び方、焼香をあげにくる弔問客への対応方法について解説していきます。本記事を通じ、ご自宅に焼香台を用意する意味や種類の違い、弔問客に対するおもてなしのマナーなどを押さえましょう。
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自宅に焼香台を設置することもできる
ご葬儀の際に利用するイメージが強い焼香具ですが、実は線香と同じ役割を持っています。線香の方が長く火が灯っているといった理由で日常的に用いられていますが、代わりに抹香を用いても問題はありません。自宅に一台用意しておくと、年忌法要の際も利用できるので便利です。
焼香台を設置する目的
焼香台を自宅に設置する目的には、以下の2つが挙げられます。
・日々の供養に使用する
・年忌法要の際に使用する
仏教では、抹香の「香り」「煙」によって故人様への祈りが伝わると考えられています。そのため自宅に焼香台を設置し、日々の供養に使用する方も少なくありません。
また抹香の香りは、身体に溜まった穢れを落とす作用があるともいわれています。ほかにも、先ほど触れたとおり、一周忌・三回忌などの年忌法要を行う際にも利用可能です。
焼香台の種類・設置方法
一口に焼香台といってもその種類はさまざまで、設置方法もそれぞれ異なります。自宅に合わせた焼香台を選ぶ必要があるので、ここからは主な焼香台の種類について解説していきます。
焼香盆
焼香盆とは、焼香具を乗せるためのお盆です。黒色や朱色のお盆が一般的ですが、近年は絵柄がワンポイントで入っていたり、木目調になっていたりと、おしゃれなものも増えてきました。本来は、焼香具の大きさに合わせてお盆のサイズを決めるのですが、最近は焼香具とセットで売られている場合がほとんどです。
焼香盆は、座礼焼香の際に用います。座礼焼香とは、参列者は座ったまま動かず、焼香だけを回す方法のことです。最近のものは、焼香を回す際に台が滑らないよう、ノンスリップ加工が施されているタイプもあります。
廻し焼香台(移動式焼香台)
廻し焼香台(移動式焼香台)とは、高さが調整できるタイプの焼香台です。キャスターがついているため移動が簡単に行えます。正座での座礼焼香・イスでの座礼焼香・立礼焼香のいずれにも利用でき、活用の幅が広いのが特徴です。
焼香机・経机
焼香机とは焼香を置くための机で、立礼焼香の際によく利用されます。また経机は、教本を置くための机です。本来置くべきなのは教本なのですが、焼香を置く際にも利用されることが増えてきています。
自宅に弔問客を招くときの準備
弔問は、ほとんどの場合事前に連絡が入るため、事前の準備がしやすいです。故人様のご冥福をお祈りしに来てくださる方へ失礼がないように、最低限の準備は整えておきましょう。ここからは、必ずしておくべき弔問客への準備について解説していきます。
掃除を済ませる
弔問の連絡をいただいたら、訪問日の前に玄関の掃除を済ませておきましょう。しかし、すべての弔問客が事前に連絡をくれるわけではありません。いつ弔問客が訪れても良いように、きれいな状態を保っておくのが理想です。
お菓子などを準備する
弔問客を自宅へ通した際、おもてなしができるように手軽に食べられるお菓子を用意しておきましょう。また、飲み物もセットで出し、訪問してくれた方を労うのがマナーです。なお、突然の弔問客にも対応できるよう、個包装で日持ちするお菓子を数点用意しておくと安心です。
返礼品を準備する
弔問客から香典やお供え物をいただいた際は、返礼品をお渡しします。もし用意できなかった場合、後日郵送でも問題はありませんが、できれば当日にお礼の言葉を添えてお渡しするのが理想です。
自宅に招いた弔問客をおもてなしする流れ
弔問客をおもてなしする際は、簡単な挨拶だけで終わるのか、それとも焼香をあげてもらうのかによって、おもてなしの流れが異なります。一般的な流れは以下のとおりです。
①挨拶
弔問客が見えたら、訪問への感謝を伝えましょう。「お忙しい中お越しいただき、ありがとうございます」「本日はご多用のところおいでいただき、感謝申し上げます」といった簡単な挨拶で問題ありません。
②仏間へ案内
「よろしければ、手を合わせていただけませんか」と伝え、仏間へ案内します。弔問客が遠慮した場合は、無理にすすめないようにしましょう。
③焼香(線香)
弔問客が焼香をあげている姿を、少し離れた後ろで見守ります。焼香が終わった際には、「ありがとうございました」とお礼の言葉を述べましょう。
④おもてなし
「よろしければ、お茶でもいかがですか」と声をかけ、お菓子と飲み物をお出しします。弔問への感謝を伝え、その後は故人様との思い出話などをすると良いでしょう。
⑤返礼品を渡す
香典やお供え物をいただいている場合、返礼品をお渡しします。
⑥お見送り
再度弔問へのお礼を述べ、お見送りをします。
ご遺族の自宅まで焼香に伺う際のマナー
弔問する立場であれば、伺う際にご遺族の気持ちや都合に配慮するのが大切です。失礼がないように注意し、手順やマナーを守って弔問を行いましょう。
弔問に伺うタイミング
弔問のタイミングは、ご葬儀の数日後~四十九日までの間が望ましいです。ご葬儀の前後は、ご遺族が慌ただしくしている可能性があるため避けるようにしましょう。また、突然の訪問はご遺族の迷惑になってしまうため、弔問は伺う日を事前に伝えておくのが大切です。
服装
ご葬儀後に弔問する際の服装は、平服が適切とされています。喪服がマナー違反というわけではありませんが、ご遺族の悲しみを思い起こさせないようにするといった気遣いから、平服が用いられるようになりました。
しかし、平服といっても普段着のようなカジュアルなファッションではいけません。基本的に、男性はスーツ、女性はスーツまたは露出の少ないワンピースが平服にあたります。黒か暗めの色を選び、アクセサリー類の着用は避けるようにしましょう。
準備するもの
弔問の際には、香典またはお供え物のどちらかを用意しましょう。一般的に、香典があればお供え物は不要です。しかし、どちらも用意したい場合は2つ持参しても問題はありません。
焼香の手順
一般的な焼香の手順は以下のとおりです。
①抹香を右手の親指、人差し指、中指の3本で少しつまむ
②軽く頭を下げた姿勢で、目のあたりまで持ち上げる
③香炉の中に抹香を静かに落とす
④②と③を1~3回行う
⑤心を込めて合掌し、ご冥福を祈りする
なお、焼香の作法は宗派によって異なります。故人様の宗派の作法を知っているのであれば、それに沿って行うのがマナーですが、分からなければ自身の宗派のやり方で構いません。大切なのは、故人様を偲ぶ気持ちです。
香典やお供え物の渡し方
一般的に、香典やお供え物を渡すタイミングは焼香をあげた後とされています。しかし、もし仏間に案内させてもらえないようであれば、玄関先でご遺族にお渡ししましょう。
まとめ
焼香台はご葬儀の後だけでなく年忌法要でも活用できるため、ご自宅に1台用意しておいて損はありません。また、法要のとき以外にも、日常の供養に用いても良いでしょう。
抹香の香りや煙は、仏教において大切な意味を持ちます。また、ご遺族の心身についた穢れを落としてくれるともいわれています。清浄な身体でお祈りするためにも、日々の供養の際に焼香を活用してみてはいかがでしょうか。
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