死亡広告(訃報広告)とは?掲載する目的や料金、注意点まで詳しく解説
人が亡くなったとき、新聞でその旨を告知することがあり、これを死亡広告と呼びます。広く訃報を伝えられるメリットがある一方、個人情報が漏えいしてしまうリスクが生じます。そのため、死亡広告の大事なポイントを押さえたうえで、必要な情報を新聞に載せなければなりません。
今回は、死亡広告の目的やメリット・広告を出す方法・掲載費用・依頼する際の注意点などを解説していきます。お悔やみ欄への掲載を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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死亡広告(訃報広告)とは?
死亡広告(訃報広告)とは、新聞を活用して訃報を伝える広告のことです。「黒枠広告」「お悔やみ広告」ともいわれており、使用用途は地方によってそれぞれ異なります。たとえば、首都圏では主に社葬を執り行う際に掲載されていますが、沖縄県では死亡連絡として活用されており、電話での訃報連絡を行いません。
また、掲載する人の属性も地方によってそれぞれ異なります。名士や著名人が主に掲載されているところもあれば、一般の方が多く掲載されている地域も少なくありません。
そして、死亡広告を掲載する方法は、葬儀社に代行してもらうか、自分で依頼するかのどちらかです。代行の場合は、故人様が所属していた組織や葬儀社などを通じて申し込みますが、自身で依頼するなら新聞社に直接連絡しなければなりません。なお、掲載には期日が設定されており、ご葬儀の日程を考慮したうえで申し込む必要があります。
ほかにも、訃報を知った新聞社が直接連絡してくるパターンもありますが、希望しなければ掲載されることはありません。また地方によっては、死亡届を出した際に掲載するか聞かれる場合もあります。
死亡広告を掲載する目的
死亡広告は、主に故人様の友好関係や、友人・知人の連絡先が分からない場合に掲載されます。また、家族葬など比較的小規模なご葬儀を執り行った際、「身内だけで執り行い、無事終了しました」と伝えるために掲載することも珍しくありません。なお、近年は小規模のご葬儀が増加傾向にあり、ご葬儀の終了を知らせる目的で利用する方が多くなっています。
死亡記事との違い
「死亡広告」と「死亡記事」は、どちらも故人様が亡くなられた事実を広く知らせる際に使われるものです。双方の違いは、費用が発生するかしないかにあります。
「死亡広告」の場合は、依頼をして掲載してもらうので費用が発生します。一方「死亡記事」は、新聞社が自ら「記事」として掲載するので、掲載費用は発生しません。
また、死亡広告は「広告」の分類であり、掲載する内容や文言は自身で調整できます。しかし、死亡記事は「記事」の分類であるため、新聞社のルールに従って掲載されます。
死亡広告の料金相場
死亡広告の相場は、配布する範囲・掲載するサイズによってさまざまです。基本的に、配布する範囲が広く、掲載するサイズが大きくなると高額になります。ここからは、全国紙・地方紙それぞれの費用相場について解説していきます。
全国紙の場合
全国紙の中でも有名な朝日新聞・毎日新聞・読売新聞・産経新聞・日本経済新聞の死亡広告の費用相場は以下のとおりです。
【1cm×2段辺のりの基本価格(全国版の場合)】
朝日新聞 | 352,000円 |
毎日新聞 | 238,000円 |
読売新聞 | 358,600円 |
産経新聞 | 110,000円 |
日本経済新聞 | 160,000円 |
上記の値段が基本価格となっており、おおよそ100,000~400,000円ほどの費用がかかるといえます。また、上記の新聞社は地方版も発行しており、地方紙それぞれで基本料金が違っているので注意が必要です。
地方紙の場合
次に、地方紙の死亡広告の料金相場をご紹介します。
【1cm×2段あたりの基本価格】
北海道新聞 | 全国版:74,074円 札幌版:51,850円 |
中日新聞 | 101,400円 ※より地域を限定したもの 名古屋市民版(小枠):50,000円 全尾張版(小枠):40,000円 |
西日本新聞 | 52,000円 |
河北新報 | 38,000円 |
上記を見ると、おおよそ40,000~110,000円ほど必要になることが分かります。このように、地域によって料金設定は異なるため、詳細が気になる方は各新聞社に確認を行いましょう。
死亡広告の例文
死亡広告の文面は、ご葬儀の種類や掲載する目的によってさまざまです。とはいえ、どのパターンにおいても、以下の情報は盛り込まなければなりません。
・故人様の氏名
・逝去の年月日
・享年
・亡くなった要因
・ご葬儀や告別式の日時・場所
(逝去のお知らせのみの場合は不要)
・喪主の名前
本項目では、死亡広告の例文を一般葬・社葬・逝去のお知らせのみ・お別れ会/偲ぶ会・参列へのお礼の5パターンに分け、それぞれの例文をご紹介します。
【一般葬の場合】
一般葬では、喪主の名前など基本的な情報があれば問題ありません。
○○○○(故人様の名前)儀 入院加療中のところ○月○日午前○時○分○歳で永眠いたしました
ここに 生前のご厚誼を深謝し謹んでご通知申し上げます
なお ご葬儀ならびに告別式は次の通りに相営みます
記
一、 日時 ○月○日
ご葬儀 午後○時~○時
告別式 午後○時~○時
一、 場所 ○○斎場
○○市○○町○○-○○
電話○○-○○○○-○○○○
○年○月○日
喪主 ○○○○
以上
【社葬の場合】
社葬の場合、一般葬の文面と変わりはありません。ただし、喪主の名前を記載する前に、「会社の住所」「社名」「葬儀委員長」「代表取締役の名前」を記載します。また、故人様が生前勤めていた肩書きも必須です。
弊社 前代表取締役○○○○儀 ○○月○○日午前○○時○○分○○歳で永眠いたしました
ここに 生前のご厚誼を深謝し謹んでご通知申し上げます
なお 通夜密葬は近親者にて相済ませました
追って ご葬儀ならびに告別式は社葬を下記のとおり執り行います
記
一、 日時 ○月○○日
ご葬儀 午後○時~○時
告別式 午前○時~○時
一、 場所 ○○寺(東京都○○区○○-○-○)
誠に勝手ではございますが 故人の遺志により ご香典ご供花ご供物の儀は固くご辞退申し上げます
○○月○日
東京都○○区○○町○-○
○○○株式会社
葬儀委員長
代表取締役 ○○○○
喪主 ○○○○
【逝去のお知らせのみ】
逝去のお知らせのみの場合、すでにご葬儀を執り行われた旨を記載します。
○○○○(故人様の名前)儀 入院加療中のところ○月○日午前○時○分○歳で永眠いたしました
ここに 生前のご厚誼を深謝し謹んでご通知申し上げます
なお 故人の遺志によりご葬儀はごく内輪にて相済ませました
つきましては お香典 お供物 ご供花などはお心だけを頂戴し 伏して辞退申し上げます
○年○月○日
喪主 ○○○○
【お別れ会/偲ぶ会】
この場合、ご葬儀を近親者のみで執り行ったこと、のちほどお別れ会/偲ぶ会をする旨を記載します。
○○株式会社元取締役社長 ○○○○(故人様の名前)儀
入院加療中のところ ○月○日午前○時○分○歳で永眠いたしました
ここに 生前のご厚誼を深謝し謹んでご通知申し上げます
なお 故人の遺志によりご葬儀はごく内輪にて相済ませました
追って 献花による○○家・○○株式会社の合同「お別れ会」を左記の通りに執り行います
記
一、日時 ○月○日
午前○時~午後○時
(なお 右記の時間内でご都合の良い時間にお越しくださいますようお願い申し上げます)
一、場所 ○○○○ホテル ○○○○の間
○○市○○町○○-○○
なお 誠に勝手ながらお香典 お供物 ご供花などはお心だけを頂戴し 伏して辞退申し上げます
ご来臨の節は 平服にてお越しくださいますようお願い申し上げます
○年○月○日
「お別れの会」実行委員会
○○株式会社 取締役社長 ○○○○(氏名)
喪主 ○○○○
以上
【参列へのお礼】
参列へのお礼をする目的で死亡広告を載せる場合、ご葬儀が無事執り行われた旨と、お礼の文章を記載します。また、ほかの死亡広告と区別するため、文頭に「会葬御礼」と記載するのが一般的です。
ご会葬御礼
故○○○○(故人様の名前)のご葬儀 告別式に際しましては ご多様中のところわざわざご会葬を賜り誠にありがとうございました
ここに ご厚情深謝し謹んで御礼申し上げます
○月○日
喪主 ○○○○
死亡広告を掲載する際の注意点
死亡広告を掲載する際は、以下の3点に注意が必要です。
・ご葬儀の参列者が多くなる可能性がある
・個人情報が広く知れ渡るリスクを認識する
・記載ミスがあっても修正できない
それぞれの内容について、詳しく解説していきます。
ご葬儀への参列者が多くなる可能性がある
死亡広告を閲覧した方がご葬儀に参列し、想定よりも人数が多くなる可能性があります。そのため、死亡広告を出す際は、あらかじめ香典返しを多く用意する、広めの会場を確保しておくなどの対策を講じておきましょう。
個人情報が広く知れ渡るリスクを認識する
死亡広告に自宅の住所を掲載する際は、空き巣に狙われたり、訪問営業が増えたりといったリスクがあることを頭に入れておきましょう。とはいえ、近年は防犯上の観点から住所を掲載することはほとんどありません。広告を依頼する際は、どこまでの情報を掲載するのか、新聞社としっかり話し合いを行いましょう。
記載ミスがあっても修正できない
死亡広告は、提出した文面がそのまま使用されます。そのため、誤りがあっても間違ったまま掲載される場合がほとんどです。基本的に修正は行えないので、ご葬儀の日時や場所など、情報が正しいかどうかしっかりと確認しておきましょう。
まとめ
死亡広告は「黒枠広告」「お悔やみ広告」ともいわれており、ご葬儀の内容や使用用途によって文面が異なります。訃報を広く伝えられるメリットがある一方、一歩間違えれば個人情報の漏えいにもつながるものです。死亡広告を依頼する場合、新聞社の方とよく話し合い、記載する内容を十分に考えたうえで掲載してもらうようにしましょう。
間違えのない葬儀社の選び方や注意点をはじめ、さまざまな葬儀の知識・マナーを分かりやすくお伝えします。