知っておきたいお通夜の基本マナーを解説。服装や香典、焼香の作法とは?
お通夜は通常、お亡くなりになった当日や翌日以降に行われます。ご葬儀や告別式が昼間の時間帯に行われるのに対して、お通夜の開始時間は17~19時頃が一般的であるため、会社帰りに駆け付ける方も多いでしょう。
お通夜の場合、喪服を着用する必要はありませんが、どのような服装でも良いわけではありません。そして香典や数珠など、必要な持ち物を準備してから参列する必要があります。
今回は、お通夜の服装や香典の渡し方、焼香の作法について解説していきますので、お通夜のマナーについて不安を覚える方はぜひ参考にしてみてください。
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お通夜とは?
お通夜は「寝ずの番」とも呼ばれており、ご遺族が夜通しろうそくの灯りや線香を絶やさず見守り続ける儀式のことです。ご葬儀や告別式の前夜に行われ、故人様と親しくしていたご友人などが集まって最期の別れを惜しみます。
お通夜には「仮通夜」と「本通夜」がありますが、行われる日程や規模がそれぞれ異なります。
行われる日程 | 内容 | |
---|---|---|
仮通夜 | お亡くなりになった当日 | ご遺族やご親族のみで行う |
本通夜 | お亡くなりになった翌日 | ご遺族・ご親族・ご友人などが集まって行う |
この2つのうち、本通夜が世間的に知られているお通夜にあたります。また現代では、故人様を病院から直接葬儀社の安置所に預けるケースも増えてきているため、仮通夜が行われることは少なくなってきているようです。
ご葬儀・告別式との違い
ご葬儀はご家族やご親族が故人様の冥福を祈るための儀式、そして告別式はご友人や会社関係の方など一般の方がお別れをするための儀式です。しかし、現代ではこの2つを一連の流れで行うのが基本になってきています。
故人様と親しかった方はお通夜とご葬儀・告別式の双方に参列しますが、都合によりどちらかにしか参列できない場合にはご葬儀・告別式に参列するのが望ましいでしょう。ただし、夕方の時間に行われるお通夜の方が参列しやすいという方は、お通夜だけの参列でもマナー違反にはなりません。
お通夜の基本マナー
お通夜の会場で恥ずかしい思いをしないよう、身だしなみに関する基本的なマナーについて知っておきましょう。
服装のマナー
お通夜に参列する際には、男女ともにブラックスーツやブラックフォーマルを着用するのが基本です。
喪服には「正喪服」「準喪服」「略喪服」があり、ご葬儀や告別式で着用する喪服は準喪服に該当します。そのため準喪服でも良いと思う方も多いのですが、お通夜は通常ご葬儀や告別式の前に行う儀式であり、そこで準喪服を着てしまうと「事前に準備していた」「死を予期していた」と捉えられてしまうため、着用は控えるのがマナーとされていました。
しかし現代ではお亡くなりになった翌日にお通夜が行われることが多く、喪服を着ても構わないとされています。
男性の服装マナー
生地の色は黒で光沢のない素材を選びます。男性は白無地のシャツ、黒のネクタイでくぼみを作らないように締めるのがマナーです。
靴は革製で問題ありませんが、エナメルやスエード素材は避け、金具がついていないシンプルなデザインを選んでください。ベルトはつけていても問題ありませんが、仏教では殺生を禁じているため、ヘビやワニ柄などのデザインは控えましょう。
女性の服装マナー
女性は膝丈のワンピースやアンサンブルに、黒の薄手のストッキングを合わせるのが好ましいでしょう。カジュアルになりすぎないよう30デニール以下の肌が透けるストッキングが望ましいと考えられていますが、冬場のお通夜に参列する際には、身体を冷やさないよう黒タイツを着用しても問題ありません。靴は布または皮素材のパンプスを、メイクは派手にならないようナチュラルメイクにします。
アクセサリーは結婚指輪や真珠のネックレスならつけても構いませんが、ダイヤなどの装飾品がついている指輪は外します。真珠のネックレスも「不幸が重ならないよう」一連タイプのものを選びますが、このとき「悲しみが長引かないよう」ロングネックレスは避けてください。
妊婦さんがお通夜に参列する場合、お腹が大きくなっていて用意していた喪服が入らない場合もあるでしょう。その際には、黒や紺色のシンプルなワンピースなど手持ちの洋服を着用して構いません。お通夜では立ったり座ったりと意外に動かなくてはいけないため、お腹を締め付けないゆったりした服装で参列しましょう。
子ども・学生の服装マナー
学生なら制服を、未就学児や制服がない学校に通っている場合には、黒や紺色などの地味な洋服を着用します。靴下は黒もしくは白を選び、靴は学校指定の靴もしくは黒色の靴、白やグレーなどのスニーカーを履きましょう。
子どもの場合は、大人ほど服装に関するマナーが厳しくないため、わざわざ喪服を購入する必要はありません。
数珠のマナー
数珠はお焼香の際に使用するため、必ず持参します。数珠は宗派によって仕様が異なりますが、相手の宗派に合わせる必要はないためすでに持っている数珠を使いましょう。
数珠には「本式数珠」と「略式数珠」がありますが、これから数珠を購入する方はどの宗派にもこだわりなく使える「略式数珠」を持っておくと便利でしょう。
香典のマナー
お通夜では香典を持参します。金額の相場や包み方、書き方や渡し方に関するマナーがありますので注意してください。
香典の金額相場
香典の金額相場は故人様との関係によってそれぞれ変わっていきます。
●ご友人:5,000~10,000円
●隣近所の方:3,000~5,000円
●会社関係:5,000~10,000円
●叔父・叔母:10,000~20,000円
●祖父母:10,000~30,000円
●兄弟姉妹:10,000~50,000円
上記の費用はあくまでも目安なので、参考程度に捉えてください。また香典では「割り切れる」=「故人様との縁が切れる」と解釈されるため、「2」や「4」などの偶数は避けます。これと同様に、縁起が悪い「9」も選ばないようにしてください。
香典の包み方・書き方
「事前に準備していた」「死を予期していた」と捉えられないよう、新札を包まないのがマナーです。このとき、お札に折り目をつけてから入れると見栄えが良くなるでしょう。
また、お札の顔が見えないように裏向きに揃えてから香典袋に入れましょう。これは「顔を伏せる」という意味を持ちます。そして、実際に書くときは以下の内容を記入してください。
●表書き:御霊前
●表書きの下:氏名
一般的には上記のように書きますが、宗派が浄土真宗の場合は表書きを「御仏前」とします。また、文字を書く際には、薄墨の筆ペンや筆を使ってください。そして中包みの表面に金額、裏面に住所・氏名を書きます。
香典の渡し方
香典は袱紗に包んでおきます。受付で袱紗から香典袋を出し、両手で手渡しをするのがマナーですが、ここで「このたびはご愁傷様でした」と一言添えるとより丁寧な印象になります。
焼香のマナー
お通夜では焼香をあげます。焼香には心身を清め、故人様の冥福を祈る意味合いがありますので、失礼のないよう行いたいものです。
1.祭壇の手前で立ち止まり、ご遺族と僧侶に一礼してから焼香台の前まで進む
2.故人様の遺影に一礼する
3.左手に数珠を、右手で香をつまんで額の位置まで持っていき、香炉にくべる
4.故人様の遺影に向かって合掌し、ご遺族と僧侶に一礼してから席へ戻る
※【手順3】の香をつまんで額の位置まで持っていき香炉にくべる回数は宗派によって異なる
通夜振る舞いのマナー
焼香後には「通夜振る舞い」といって、食事やお酒をいただく食事会に出席します。何か口にすることが故人様の供養になるので、できるだけ断らずにいただきましょう。
喪主やご親族と言葉を交わす際には、「重ね重ね」のような忌み言葉は使わないようにします。また、どこで・なぜ亡くなったのかを聞くことも失礼にあたるため注意してください。
お通夜当日の流れ
最後に、お通夜当日の大まかな流れをご紹介します。会場についてから通夜振る舞いまでの流れを一通り把握しておきましょう。
1.受付でお悔やみの言葉を述べる
2.香典を両手で渡し、芳名帳に記帳する
3.祭壇のある部屋へ行き、焼香をあげる
4.通夜振る舞いが始まる
※通夜振る舞いの有無は地域によって異なる
会場では大きな声を出したりせず、極力私語を慎んで故人様を偲びましょう。
まとめ
お通夜はご葬儀・告別式の前日に行われます。主に夕方の時間帯に行われますが、自身の服装やアクセサリーについて一度確認してから参列するようにしてください。また、立ち振る舞いに関して分からないことがあれば、身近な方に相談して正しい知識を身につけておくと良いでしょう。
お通夜は故人様とのお別れを偲ぶ大切な場です。その場にふさわしい装いで参列する必要があるため、不安な方は今回ご紹介した内容をおさらいし、自分に足りない点がないかどうかチェックしてみてください。
間違えのない葬儀社の選び方や注意点をはじめ、さまざまな葬儀の知識・マナーを分かりやすくお伝えします。