ご葬儀の「施主」「喪主」とは?役割や決め方、マナーを詳しく解説
ご葬儀の場で耳にする「喪主」(もしゅ)という言葉は、広く知られているので、意味を知っている方が多いですが、「施主」(せしゅ)という言葉はいかがでしょうか。
施主という言葉を、建築用語と認識していらっしゃる方も多いですが、ご葬儀の場でも施主という言葉を使うことがあります。一般的な理解として、施主とは「お金を払う方」のことを、喪主は「ご葬儀の代表者」という意味で使いわけることが多いです。
そこでこの記事では、ご葬儀の場における施主の意味と、喪主との違いについて解説します。
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ご葬儀の「施主」「喪主」とは?
ご葬儀において、施主と喪主とは違う役割なのでしょうか?同じ方が務めることもあるのでしょうか?
次の項目で、それぞれの違いや用途について詳しく解説していきたいと思います。
施主と喪主の違い
施主という言葉は、もともと僧侶や寺院などに対して「お布施をする主」という意味の言葉で、かみ砕いて言えば「費用を支払う人」という意味になります。これが転じて、建築業界で請負業者がクライアントに対して「お施主さん」と呼ぶようになりました。
一方で、喪主という言葉はご葬儀や法要のときに使う特有の言葉で、施主とは意味が異なります。施主の役割は費用負担に限られますが、喪主の役割はご葬儀一切の取り仕切りです。
施主と喪主は同一人物になる場合も多い
施主と喪主の違いについてはご理解いただけたと思いますが、実際のご葬儀の現場では施主と喪主は同一人物になることが多いです。その理由としては、現実問題として喪主がご遺族の代表者であり、葬儀社や僧侶への支払いも担っているからです。
施主・喪主の役割
それでは次に、施主や喪主となった人物がどのような役割を担うのか、詳しく解説してまいりますので、ご葬儀で喪主を任された場合に参考にしてみてください。
葬儀社や寺院とやり取りを行う
施主・喪主の役割に、葬儀社や寺院とのやり取りを行うというものがあります。
葬儀社とのやり取りとは、「葬儀場を決める」「通夜や告別式の日程を決める」「葬儀プランを決める」「返礼品や食事などの手配を依頼する」などが挙げられます。
寺院とのやり取りは、「戒名」「ご葬儀の規模(僧侶の人数など)」「ご葬儀後の法要(初七日法要や四十九日法要など)」「納骨」についての相談などです。
ご葬儀の費用を支払う
葬儀社に対する葬儀費用の支払いも、施主・喪主の役割です。一般的な支払い方法としては、ご葬儀が終わった日以降の数日以内に、現金またはカード決済、振り込みなどの方法で支払いをします。
参列者から弔問を受ける
喪主としての大切な役割の一つが、参列者からの弔問を受けることです。参列者は喪主に対してお悔やみの言葉などをかけてくれます。それを受けて、故人様との思い出話などをすることは、ご遺族だけでなく参列者の心のケアにもつながります。
喪主挨拶・香典管理などの運営をする
参列客とご挨拶を交わすことはもちろんですが、ご葬儀の意義の一つに、参列者に代替わりを知らせるという意味があります。「父亡きあと、私(喪主)がこの家を継いで頑張っていきますので、今後も変わらずお付き合いください」といった意志を伝えることも、ご葬儀の大切な役割の一つです。
香典の管理や供花や供物を出してくださった方のリスト整理なども、大切な役割の一つです。頂いた香典や供物に対して、後日返礼をする必要があるため、早めにリスト整理をして返礼の準備を進めていく必要があります。
施主・喪主はどうやって決める?
そもそも、施主・喪主はどうやって決めるのでしょうか。基本的には、血縁の近い順で決めることが一般的ですが、考え方として「その家を継ぐ方が喪主を務める」とイメージすると分かりやすいでしょう。
例えば、男性の子1人、女性の子1人の4人家族の父が亡くなった場合、喪主は長男が務めることが多いです。このとき、男性が最年長であるかどうかは、あまり考慮されません。
お子様が男性ばかりで複数人いらっしゃる場合は長男が喪主を務めることが多いですが、その家を二男が継ぐことが決定しているのであれば、二男が喪主を務めることになります。ただし、実際には誰が喪主をしなくてはいけないというルールはありませんので、ご遺族を代表できる方が務めればそれで問題はありません。
施主・喪主のマナー
施主・喪主のマナーについても簡単にご紹介します。
服装
施主・喪主をされる方は、ご遺族を代表してご葬儀全般を取り仕切ることになります。ご親戚の方や、参列者に心配をかけることがないように、きちんとした礼服を着用するようにしましょう。
礼服は男性の方であれば、略礼服・ブラックスーツで構いません。ただし、大規模なご葬儀の場合はモーニングなどの正装が必要です。
女性の方が喪主を務められる場合は、同じく小規模なご葬儀の場合は黒のワンピースやアンサンブルを着用されると良いでしょう。以前は黒喪服が一般的とされていましたが、近年では着用されない方が増えてきています。
挨拶
参列者への都度の挨拶はもちろんですが、喪主として通夜やご葬儀が終わったタイミング、初七日法要など法要の終了時には挨拶が必要です。
ご葬儀での挨拶は、次の3つの内容を意識して組み立てるのが基本となっています。
1.参列していただいたことに対する御礼
2.今まで故人様がお世話になったことへの御礼
3.そして今後も変わらぬお付き合いをお願いする旨
お布施
ご葬儀が無事に執り行われたのちには、僧侶に対して御礼のお布施をお渡しする必要があります。地域や寺院によってタイミングはさまざまですが、遅くなることがないように注意してお布施をお渡ししましょう。
まとめ
今回の記事では、ご葬儀の「施主」「喪主」について解説しました。
施主とは主に費用負担をする方であり、喪主とはご葬儀全般を取り仕切る方という意味になります。しかし、実際のご葬儀ではそれぞれ区別することはほとんどありません。ご遺族を代表する方が施主・喪主両方の役割を担うことが一般的です。
間違えのない葬儀社の選び方や注意点をはじめ、さまざまな葬儀の知識・マナーを分かりやすくお伝えします。