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般若心経とは?由来やご葬儀での役割、全文の現代語訳を分かりやすく解説


般若心経とは?由来やご葬儀での役割、全文の現代語訳を分かりやすく解説

般若心経(はんにゃしんぎょう)は1500年以上前から日本人に読まれ、親しまれてきたお経です。複数の宗派のご葬儀で使用されており、「聞いたことがある」という方も多いのではないでしょうか。

日本で最も有名な「般若心経」ですが、意味まで知っている方はそれほど多くはありません。262文字という短いお経でありながら、その意味は深く、人々の心を魅了させる力を持っています。

そこで本記事では、般若心経の基本的な説明から般若心経の歴史や由来、その意味について分かりやすく解説します。

コンテンツ

般若心経とは?

そもそも、般若心経とは一体どのようなお経なのでしょうか。般若心経は正式名称を「般若波羅蜜多心経」といいます。数ある仏教経典の中でも262文字という極めて短い経典です。しかし、その短い文章の中に仏教の大切な教えが集約されている経典でもあります。

般若心経の由来・歴史

般若心経の歴史は古く、西暦630年頃までさかのぼります。当時中国で僧侶をしていた玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)がインドへ仏教の勉強をしに行ったときに、般若心経の原本「プラジュニャーパーラミター・フリダヤ・スートラ」と出会い、中国語に翻訳したのが始まりでした。

玄奘三蔵が翻訳した経典はおよそ600巻。その中の一つに「般若波羅蜜多心経」が書かれています。

その後、般若心経は海を越えて日本へ伝わり、現在私たちの馴染みのある「般若心経」として日本に広まっていきました。

般若心経が読まれる宗派

般若心経を唱える宗派はどのくらい存在するのでしょうか。主にあげられるのは「真言宗」「天台宗」「曹洞宗」「浄土宗」となります。般若心経はすべての宗派に共通する教えを伝えている経典のため、このように複数の宗派で使われています。

ただし、「浄土真宗」や「日蓮宗」では般若心経を読むことはありません。なぜなら、般若心経は「自ら考え悟りの境地に至る(自力本願)」という教えですが、浄土真宗などでは「阿弥陀様のお導きによって悟りの境地に至る(他力本願)」と考えられているからです。

ご葬儀・法要における般若心経の役割

般若心経は、お釈迦様の教えを伝えるためだけのものではありません。ご葬儀の場では祈祷の役割を果たしますし、法要では自他ともに悟りを得るための功徳となる、「回向(えこう)」の意味も持ち合わせています。

具体的に説明すると、ご葬儀で納棺前やお通夜、火葬場などで故人様の安らかな旅立ちを願い、お経を唱える行為のことです。

追善供養などの法要では、「回向」として般若心経を唱えます。「回向」とは、仏教独特の考え方です。お経を読むことによって自分に「徳」を積むことができ、その「徳」を故人様に回し向けて供養するという考え方です。

般若心経の全文・意味を解説

般若心経の全文と、その意味について解説していきます。まず、般若心経の全文は以下になります。

摩訶般若波羅蜜多心経

観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄 舍利子 色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識亦復如是  舍利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不減 是故空中 無色 無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法 無眼界 乃至無意識界  無無明 亦無無明尽 乃至無老死 亦無老死尽 無苦集滅道 無智亦無得 以無所得故  菩提薩埵 依般若波羅蜜多故 心無罣礙 無罣礙故 無有恐怖 遠離一切顛倒夢想 究竟涅槃  三世諸仏 依般若波羅蜜多故 得阿耨多羅三藐三菩提  故知般若波羅蜜多 是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪 能除一切苦 真実不虚  故説般若波羅蜜多呪 即説呪曰

羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶

般若心経

般若心経の内容を現代語訳で分かりやすく解説

この項目では、先ほど紹介した般若心経の意味について解説していきます

私は「自分自身の存在」というものについて考え、そしてある真実に辿り着きました。それは私を形成している「体」も「心」もすべて存在しないということです。

「私」という存在はさまざまな要素が組み合わさってできているものを、総称として「私」と呼んでいるだけで、実態は「空」なのです。私たちはときの流れと共に常に変化をし続けます。生まれることも死ぬことも変化の一つにすぎません。

私たちは「今この状態でいる」だけなのです。見るもの・聞いたもの・嗅いだもの・味わうもの・感触・感情のすべてが、「空」なのです。私たちは感覚器官でそれらを感じ取っているに過ぎず、世界を理解しているわけではありません。なぜなら世界そのものも変化し続ける「空」だからです。

私たちは自分たちの作り出した概念により苦痛や悲しみを感じますが、それらすべては存在しているように感じているだけで、実際は存在しません。つまり、老いることや死ぬことさえもただの概念であり、実際は存在が形を変えているだけに過ぎないということです。

概念を頭で考え理解するという行動自体が、既に虚しいものなのです。物事を受け止めるということは、知識として理解するということではありません。

自身を「空」と認識することで私たちは真実心の安らぎを得られます。自分自身という存在も、自分が作り上げてきた概念でしかありません。この事実をいつでも思い出せるよう、次の真言を伝えます。

ギャーテーギャーテー ハーラーギャーテー ハラソーギャーテー ボウジーソワカー

これが般若心経の教えです。

般若心経の意訳は、翻訳する方によって異なります。それほど般若心経は奥が深く難しく、そして面白い経典だといえるでしょう。上記で紹介したのは一例に過ぎません

般若心経における「空」の思想

先ほどの全文で、「空(くう)」という言葉が頻繁に出てきたことに気づかれたでしょうか。実は仏教において「空の思考」というのはとても重要な意味を持っています。

ここからは、「空の思考」について解説していきます。

「大乗仏教」と「小乗仏教」について

仏教は「大乗仏教」と「小乗仏教」の2つに分けられます。「小乗仏教」とは、仏教の修行を行っている限られた者しか辿り着くことのできない悟りの教えを指します。一方で、「大乗仏教」とは誰もが辿り着くことのできる悟りの教えです。

「空の思想」とは、大乗仏教の教えに属しています。物事に囚われず執着しないという考え方を通して悟りの境地に到達できるという考え方です。

物事の変化について

仏教における「空」とは「からっぽ」という意味ではなく、「実態がないもの」という意味を表しています。すべての物事は変化し続けるが、その本質は変化することなく存在する。すなわち「物体の変化に囚われず、物事の本質を見抜きなさい」という教えが般若心経なのです。

物事の尺度・価値観について

先ほどもご説明した通り、「空」は「実態がないもの」を意味しています。つまり、物体に執着したり価値観に囚われたりしないようにしましょう、という教えも込められているのです。

この世にあるものすべては、私たち人間が付けた評価によって価値判断が行われています。しかし実際の価値は自分で決めるものであり、固定の評価は存在しません。

般若心経における「真言」

般若心経の最後には「羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶」というフレーズがあります。この言葉は「真言」と呼ばれており、真言は悟りに到達するためにあり、言葉の意味よりも音の響きが重要です。

まとめ

般若心経とは幸せに生きるための仏教の教えの一つです。人々の心の安らぎとして、ご先祖さまを供養する経典として、何百年にもわたり語り継がれてきたお経です。

今後の人生で般若心経を聞く機会があったときには、本記事で解説した般若心経の意味を思い出して聞いてみるのも良いかもしれません。

記事の制作・編集家族葬コラム編集部
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