家系図の調べ方は?自分で戸籍謄本を請求する手順、注意点を詳しく解説!
ルーツはどこにあるのか、ご先祖様はどのような方だったのかを知ることができる家系図に興味を持つ方も多いのではないでしょうか。家系図とは自分のルーツを知るうえで欠かせないものであり、なかには家系図を自分で作成してみたいと考えている方も少なくありません。
本記事では、そのような方に向けて、家系図の調べ方や作成方法について解説していきますのでぜひ参考にしてみてください。
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家系図とは?
家系図とは、一族代々の系統が書き記された表のことです。名字を受け継いでいる系統や、血のつながりなどを一覧で確認できます。フローチャートのような形をしているのが特徴です。自分のルーツを理解できるほか、親子関係・養子関係・婚姻関係などを把握できます。
家系図を活用する場面とは?
家系図を活用する場面は多岐にわたります。長寿祝いや結婚などの節目にご家族へプレゼントしても喜ばれますし、親族同士で話題にするのも良いでしょう。相続シミュレーション相関図を作成する際にも役立ちます。
相続シミュレーション相関図とは、被相続人と相続人の関係性をフローチャートのようにまとめた図のことです。法定相続人が誰なのかが分かるため、資産継承の際に役立ちます。家系図があると、相続シミュレーション相関図の作成時に大きく活躍します。
家系図の調べ方は3種類ある
家系図の調べ方として代表的なのは、以下3つの方法です。
①市役所などで戸籍謄本を請求して調べる
②寺院にある過去帳や、図書館の文献を調べる
③家系図業者に依頼する
それぞれの方法について、詳しくみていきましょう。
①市役所などで戸籍謄本を請求して調べる
市役所などで管理されている戸籍謄本から、自分のルーツを調べる方法です。家系図は、各自治体から戸籍を取得し、その戸籍を読み取り家系図に書き込むという作業を繰り返すことで完成します。戸籍謄本から調べる方法であれば、江戸時代初期まで遡って調査が可能です。
戸籍謄本の請求にかかる費用
戸籍謄本の発行には1通につき450円ほどの費用が発生します。どこまでの範囲を調査するかにもよりますが、ひとつの家系(名字)で5〜10通ほど必要なので、2000~5,000円を目処に用意しておくと良いでしょう。
戸籍謄本には3種類ある
戸籍謄本には、現在戸籍・除籍・改製原戸籍の3種類があります。それぞれの特徴を把握していれば、家系図作りが格段にはかどります。
<現在戸籍>
現在戸籍とは、現在継続して使用している戸籍です。
<除籍>
結婚・逝去・養子縁組などによって、在籍している方がいなくなった戸籍です。相続時に法定相続人を調査するために取り寄せることがあります。
<改製原戸籍(かいせいはらこせき)>
改製前の古い戸籍を、改製原戸籍といいます。「原戸籍(はらこせき)」とも呼ばれており、法令の改正によって戸籍の様式が変更された際の、古い戸籍謄本です。
自分で家系図を作る場合、上記3種類の戸籍を取り寄せて調べなければなりません。
②寺院にある過去帳や、図書館の文献を調べる
戸籍謄本を取り寄せても分からなかった部分は、寺院にある過去帳や図書館の文献から調査します。過去帳とは、ご先祖様の名前・戒名・逝去した年・死亡年齢などを記した帳簿です。
菩提寺を持っているのであれば、寺院に過去帳が保管されています。戸籍謄本で分からなかった箇所が、過去帳を遡ることで見えてくる可能性も高いです。
ただし、戸籍謄本や過去帳で確認できるのは、あくまでもご先祖様の名前と本籍地までです。職業や生活までは分かりません。情報を充実させたい場合は、図書館などで文献調査をする方法も有効です。文献調査であれば、祖先の名前だけでなく、職業や当時の生活まで辿れる可能性があります。
主な参考文献としては、以下5つが有力です。
・新聞
・軍歴証明書(兵籍簿)
・旧土地台帳
・郷土誌
・藩政史・分限帳
過去帳や文献調査にかかる費用
過去帳は、菩提寺の僧侶に書き写してもらう必要があります。その際には、お礼としてお布施が必要です。お布施の相場は、5,000円〜10,000円ほどとされています。
文献を調査する場合は、購入する本の値段によって費用が異なります。家系図を探すための文献は高額であることが多いので、図書館で探す方が経済的です。なかには販売されていない文献もあるので、費用のかからない図書館や過去帳で調べるのが良いでしょう。
③家系図業者に依頼する
業者に依頼して家系図を作成する方も少なくありません。あまり知られていませんが、家系図作成を専門とする業者は日本に数多く存在します。
戸籍調査は江戸時代後期までしか遡ることができません。しかし、専門業者はそれに加えて文献調査、聞き取り調査、現地調査を行います。専門的な知識も持っているため、素人では知り得ない情報も探せます。
業者に依頼することで平安時代まで遡れる場合もあるので、調査に行き詰まったときに利用してみると良いでしょう。
また、家系を調査するだけであれば、相続や遺産の相談に携わる行政書士も調査のプロです。なかには、家系図の作成を請け負ってくれる行政書士事務所もあります。
家系図業者への依頼にかかる費用
家系図業者は、戸籍謄本の取得以外にもさまざまな方法で家系図を作成します。調査方法によって異なりますが、徹底的に調査するとなれば、費用が1,000,000円を超えるケースもあるため、事前に見積もりを取っておく必要があります。
行政書士に依頼する場合は、50,000円〜60,000円が相場です。
戸籍から家系図を調べる際に必要なもの
ここからは、戸籍謄本の請求にはどのようなものが必要なのかについて解説していきます。
戸籍交付申請書
戸籍交付申請書とは各地方自治体が定める戸籍請求の申請書のことで、これは自治体のホームページでダウンロードできます。ネットで検索する際は、「自治体名 戸籍謄本 郵送」と入力するとスムーズに見つけられます。
戸籍交付申請書に記載する内容は、「宛名」「日付」「請求者」「必要な戸籍」「証明書の種類」「使い道・提出先」で、「宛名」には請求する自治体名を記入しましょう。「日付」は書類を作成した日、もしくは申請書が届く日で記入します。
また「請求者」は、自分の住所・氏名・生年月日・筆頭者(戸籍を取得する人物)から見た関係のほか、日中連絡可能な電話番号を記入します。「必要な戸籍」は筆頭者の氏名、年齢を記入しますが、数世代にわたる戸籍を一括して請求したい場合、最も新しい筆頭者の箇所に「他」を付け加えましょう。
「証明書の種類」は、戸籍・除籍謄本・改正原戸籍を選択する箇所がありますが、ここはすべての項目に「各一通」と記入します。「使い道・提出先」については、「家系図を作成するため」と記入すれば問題ありません。
身分証明書
戸籍謄本を請求するためには、身分証明書も必要となります。窓口での請求であれば原本を、郵送の場合はコピーを用意しましょう。
身分証明書として利用できるのは、「運転免許証」「パスポート」「マイナンバーカード」「写真付き住基カード」「健康保険証」などです。
発行手数料
戸籍謄本の発行手数料は一部450円ほどです。複数の戸籍謄本が必要な場合は、数に応じて必要な手数料も増えていきます。
郵送で請求の場合は、「定額小為替」の利用をおすすめします。「定額小為替」とは、遠方で現金払いが必要になった際、現金に替わって支払いができるサービスのことです。購入は、近くの郵便局であればどこでも可能です。
戸籍謄本はいくつ必要になるか分からないものなので、多く見積もって10,000円程度の定額小為替を用意しておくようにしましょう。
返信用封筒・返信用切手【郵送の場合】
郵送で請求の場合、返信用封筒も必要です。こちらも必要となる戸籍謄本の数が分からないため、角形2号など大きめの封筒を用意しておくと安心です。切手は380円分を同封すると良いでしょう。
また、レターパックを活用するという方法もあるので、どれが使いやすいかを検討してみてください。
戸籍から家系図を調べる手順
自分で家系図を作成すると決めた場合、戸籍謄本の発行から始める必要があります。なぜなら先でもご説明したとおり、家系図は「戸籍謄本の取得」「取得した戸籍を読み込む」「読み取った情報を家系図に書き込む」という作業を繰り返し行うことで完成するからです。
戸籍謄本の請求方法は、「自身が窓口で直接請求する方法」と「郵送で請求する方法」の2つがあります。ここからは、この2つの請求方法について解説していきます。
役所の窓口で直接請求する手順
役所の窓口で直接請求する手順は、以下のとおりです。
①住民用の請求・自分の本籍を調べる
戸籍謄本は「本籍地」の自治体でしか発行できません。まずご自身の「本籍地」を知る必要があります。住民票を取得する際に「本籍地」にチェックを入れることで、確認が可能です。
②戸籍謄本の発行
本籍地を確認した後は、対象の自治体で戸籍謄本の請求を行います。請求の際、「謄本」と「抄本」を選択する項目がありますが、家系図を作成する場合は「謄本」を請求しましょう。
郵送で請求する手順
戸籍謄本を郵送にて請求する場合は、次の手順で行います。
①本籍地の確認
窓口での請求と同じく、まずは本籍地を確認しましょう。
②必要書類の準備
郵送で請求する際は、窓口で請求する場合に比べて多くの書類が必要となります。必要書類については、『戸籍から家系図を調べる際に必要なもの』をご参照ください。
③必要書類を本籍地の自治体に郵送
そろえた書類を担当窓口に郵送すると、後日戸籍謄本が送られてきます。
戸籍から家系図を調べる際の注意点
家系図の作成には戸籍謄本の請求が欠かせませんが、請求の際に注意しなければならない点があります。ここからは、それらの注意点について解説していきます。
取り寄せできる範囲を決めておく
家系調査では、膨大な数のご先祖様が登場します。そのため、範囲を決めておかなければ、調査範囲が際限なく広がってしまうことも多いです。果てしなく調査しなければならなくなってしまうため、遡る系統と範囲を定めたうえで、あらかじめ家系図の目的を決めておきましょう。
本籍地表記の変更、市区町村の合併がされている場合がある
何度も戸籍謄本を請求していると、本籍地が現存していなかったり、住所で表記されていたりする場合があります。これは、市区町村が合併されている際によく見られるパターンです。
このような場合は、そのままの名称で請求しても問題ありません。また、合併などにより請求先が分からないときはネットで検索すると答えが見つかります。
戸籍謄本が取得できない場合もある
2010年の戸籍法改正により、戸籍の保存期間は150年となりました。しかし、それまでの保管期間は80年とされていたため、1930年(昭和5年)までに除籍となったものは廃棄されている可能性があります。
あくまで保存期間なので、各自治体によっては期間が過ぎたものでも残っている場合が多いです。いずれにせよ、戸籍謄本を取得できるかどうか一度請求してみることをおすすめします。
作業量が多い
戸籍の請求には多くの手間と時間がかかります。ひとつの家系で約5〜10通の戸籍謄本が必要といわれており、届くまで2ヶ月ほどかかるケースも珍しくありません。あらかじめ余裕を持ってスケジュールを立て、無理のないペースで取り組んでいきましょう。
戸籍の読み方
現代の戸籍であれば問題ありませんが、昔の戸籍(改製原戸籍・除籍謄本)を読む際には、ある程度の事前知識が必要です。
昔の戸籍では、手書きで書かれた名前の読み取りに手間がかかります。昔は戸籍すべてを手書きで残していたため、クセや文字が潰れているなどの理由で、読み取れないケースが多いです。
読めない字には、大きく分けて大字・変体仮名・崩し字・異体字という種類があります。解読できない場合は、これらのジャンルに当てはまるかを確認して解読しましょう。
また、戸籍は年式ごとに表記が異なります。年式による表記をある程度把握しておけば、どこに何が書いているのか、おおよその見当をつけられるでしょう。
戸籍が戦前になってくると、単位が親子ではなく家に変わります。隠居、家督相続といった言葉も出てくるため、当時のご家族がどのような様式だったのかを調べてから読み取った方が、調査がスムーズに進みます。
家系図を調べた後のまとめ方
戸籍を取り寄せてルーツを調べた後は、その系統をまとめなければなりません。主な方法は以下のとおりです。
・樹形図を使って手書きでまとめる
・Excelを使ってまとめる
・アプリを使ってまとめる
それぞれの方法についてみていきましょう。
樹形図を使って手書きでまとめる
樹形図とは、多くの方がイメージするフロー型の家系図です。ご自身を起点に、上に行くほどご先祖様の家系が見えてきます。手書きでまとめる場合は、樹形図がメジャーです。世代ごとのくくりや、親子関係が一目で理解できます。
Excelを使ってまとめる
現代では、パソコンで家系図をまとめる方も多いです。マイクロソフトのExcelであれば、パソコン上で樹形図が作成できます。近年は、家系図を作れるテンプレートも無料でダウンロードできるため、そういった形式を用いても良いでしょう。
アプリを使ってまとめる
最近は、家系図作成アプリも数多くリリースされています。スマートフォンで作れるため、Excelのようにパソコンを起動する必要がありません。スキマ時間で作成でき、何よりも手軽なのがメリットです。
まとめ
家系図を作るには、自分で調べて作成する、あるいは業者に依頼して作成してもらうといった2パターンがあります。自分で調べる際は戸籍謄本の請求が必須となり、時間をかけてコツコツ調査していかなければなりません。
最近では、エンディングノートに終活の一貫として家系図を記載している方も増えているようです。自分がどのようなルーツを辿って生まれてきたのか、一度調べてみてはいかがでしょうか。
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