満中陰志とは?意味や品物の選び方、金額相場、マナーまで詳しく解説
法要を終えた後、供養をしてくださった方にお礼として贈ることを香典返しといいます。香典返しは一周忌法要、三回忌法要などさまざまな場面で見られますが、その香典返しのひとつに「満中陰志」があります。
満中陰志は「まんちゅういんし」と読み、その言葉には大切な意味が込められているものの、主に西日本で使用されている言葉のため、聞いたことがないという方もいらっしゃるかもしれません。今回は、満中陰志の意味や粗供養(そくよう)との違い、掛け紙の掛け方など、満中陰志のマナーについて解説していきます。
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満中陰志とは?
「満中陰志」とは、四十九日法要を終えた際に贈る香典返しのことを指します。言い方が違うだけで、香典返しとほぼ同じものといわれています。
しかし満中陰志は、贈る時期やのしの掛け方、水引の選び方などがほかの香典返しと少し違う部分があるので、贈る際は注意が必要です。ここからは、「満中陰志」という言葉が使われる理由、そして粗供養との違いについて解説していきます。
満中陰志の読み方・意味
仏教の世界では、人が亡くなってから49日間のことを「中陰」と呼び、この間に次の生まれる場所が決まると考えられています。また、「満」は満ちる、「志」は贈り物のなかで最上級のものという意味を持っています。つまり、「満中陰志」には、「四十九日法要を無事終えたことのお知らせと、供養に参加してくれたことへの感謝の贈り物」という意味が込められているのです。
なお、「満中陰志」は仏教用語のため、神道やキリスト教では使用されません。
満中陰志と粗供養の違い
一般的に、「粗供養」は法要でいただいたお供え物やお仏前のお返しで、「満中陰志」は忌明けに贈るお返しのことを指します。このような特徴から、四十九日法要に来ていただいた方に対して、当日お渡しする返礼品にも「満中陰志」を使用することは可能です。しかし、場合によっては混乱してしまう方が出てくるかもしれないので、当日お渡しするお礼は「粗供養品」、香典返しは「満中陰志」とするのをおすすめします。
満中陰志の品物の選び方・金額相場は?
満中陰志を贈る際に悩んでしまうのが、品物の種類です。基本的に、満中陰志もほかの香典返しと同じく「消え物」を選ぶのが良いとされています。「消え物」とは、使用するとなくなってしまうもののことで、お茶や海苔、洗剤などが挙げられます。
一方、相応しくないものとしては「四つ足生臭物」で、これは主に生の肉やお魚などのことです。これらは満中陰志で使用するのはマナー違反となります。また、お祝いの引き出物として用いられる鰹節や昆布は縁起物とされているため、これらも避けた方が良い品物といわれています。
満中陰志の予算は香典でいただいた金額の半分、または3分の1が一般的です。本来はいただいた香典の金額を確認してから郵送するものですが、最近では金額を確認することなく、当日に香典返しをお渡しする「即日返し」をされる方が多くなってきています。
即日返しは、来ていただいた方全員に香典返しを渡せるので、返し漏れの心配もほとんどありません。しかし、いただいた香典よりも少ない金額のものをお返ししてしまう可能性もあります。その際は、忌明け後にあらためて差額分の品物を満中陰志として贈るのがマナーとされています。
満中陰志の品物の贈り方
満中陰志は贈る時期が限られていたり、掛け紙の選び方が違ったりなど、ほかの香典返しとは若干異なるマナーが存在します。ここからは、満中陰志を贈るタイミングや掛け紙の選び方について解説していきます。
品物を贈るタイミング・贈り方
満中陰志は基本的に、四十九日が終わったタイミングで贈るのが理想とされています。郵送が遅れてしまうのであれば、遅くても1ヶ月以内には贈るようにしましょう。
また前述の通り、満中陰志は四十九日法要が滞りなく終了したことを表すために贈るものです。そのため、四十九日が明ける前に贈ることはできません。
贈り方は、本来直接手渡しするのがマナーですが、最近では郵送でお返しする方も増えてきています。なお、郵送する場合は挨拶状の添付が必須となりますが、この挨拶状については別の項目にて詳しく解説します。
掛け紙の選び方・書き方
香典返しでの悩みどころは、掛け紙の選び方ではないでしょうか。「熨斗(のし)」はお祝い事の際に使用される紙のことで、表面に「熨斗(のし)」が描かれているのが特徴です。一方、満中陰志においては熨斗(のし)が描かれていない「掛け紙」を使用します。
なお、掛け紙には表書きとして「満中陰志」と書くのが一般的ですが、住んでいる場所によって若干の違いがあり、この違いについてはのちほど詳しく説明します。
満中陰志のマナー
前述の通り、満中陰志は基本的に喪主が直接手渡すのがマナーです。しかし、現代では郵送するのが一般的となってきています。
香典返しの意味を持つ満中陰志を郵送する際は、挨拶状を添えるのが礼儀となります。しかし、挨拶状に何を書けばいいのかわからないという方もいらっしゃることでしょう。満中陰志に添える挨拶状には細かなルールが存在しますので、ここからはそのルールについて解説していきます。
挨拶状を必ず添える
満中陰志に添える挨拶状のルールは下記の通りです。
・句読点を使用しない。
・季語の挨拶は入れない
・頭語と結語を入れる。
内容としては下記の項目を盛り込みつつ、簡潔に済ませます。
・頭語(謹啓、拝啓など)
・法要などに参列していただいたことに対するお礼
・香典をいただいたことに対するお礼
・法要が無事終了したことの報告
・満中陰志を贈ったので受け取ってほしいという旨
・郵送での対応となる非礼をお詫びする旨
・結語(敬白、敬具など)
・日付
・差出人の名前
長すぎるとかえって読みづらくなってしまうので、読む相手のことを考えながら文面を考えていきましょう。
東日本と西日本で異なるマナーに注意する
満中陰志は、東日本と西日本で水引の色や掛け紙(のし)の包み方がそれぞれ違います。その違いを以下にまとめましたので。住んでいる地域に合わせて実践してみてください。
【西日本の場合】
・掛け紙 無地か蓮が描かれたもの
・包み方 内掛け
・水引 黄白の結び切り
・表書き 上段:満中陰志
下段:喪主の氏名
【東日本の場合】
・掛け紙 無地か蓮が描かれたもの
・包み方 外掛け
・水引 黒白の結び切り
・表書き 上段:志
下段:喪主の氏名
記入する際の墨については、地域によって薄墨であったり通常の黒い墨であったりさまざまなので、年配の方などのアドバイスを参考にして書いてみてください。
まとめ
満中陰志とは、四十九日法要などを終えた際に贈る香典返しのことを表す言葉です。主に西日本で使われており、ほかの香典返しとは少し異なるルールが存在します。
故人様を忍んでくれた方々への感謝を表す大切な香典返しの意味を持つので、適切な品物選びはもちろんのこと、ルールを守った挨拶状の添付など、気をつけなければいけない細かな点が多々あります。また、地域や風習によってさらに若干の違いが出てくるので、不安な方は近親者や葬儀社と相談してから贈るようにしましょう。
間違えのない葬儀社の選び方や注意点をはじめ、さまざまな葬儀の知識・マナーを分かりやすくお伝えします。