初盆のお布施の相場はいくら?渡し方や包み方、マナーまで詳しく解説
初盆(はつぼん)とは、その名の通り、故人様が亡くなってから初めて迎えるお盆のことをいいます。地方によっては新盆(にいぼん)とも呼ばれており、故人様にとって大切な追悼供養のひとつです。そして、このとき行われる法要のことを「初盆法要」といいます。
初盆法要を執り行うにあたって、施主は事前にさまざまな準備をしなければなりません。今回は、「初盆でのお布施はいくら用意すればいいのか」「お布施の表書きはどうしたら」とお悩みの方に向けて、初盆におけるお布施について詳しく解説していきます。
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初盆(新盆)とは?
前述の通り、初盆(新盆)とは故人様が亡くなってから初めて迎えるお盆のことをいいます。四十九日を過ぎ、仏様となった故人様の魂が初めてご家族の元へ帰ってくる日のため、通常のお盆よりも大切な意味を持つ法要となります。
初盆法要は、通常のお盆と比べ規模は大きいものの、準備するものや法要の内容はほとんど変わりません。また、初盆までの流れは以下の通りです。
1.日程を決める
お寺へ連絡し初盆の日程を決めます。理想はお盆の月の15日ですが、最近では参列者の都合も考慮し、日程をずらすこともあります。
2.お墓のお掃除
初盆では参列していただいた方々と一緒にお墓参りをします。そのため、当日清々しい気持ちでお墓参りができるよう、事前にお掃除しておくことが大切です。
3.精霊棚(しょうりょうだな)などの準備
お盆では、精霊棚と呼ばれる祭壇を準備します。精霊棚は、宗派や地方によって準備の仕方やお供えするものが異なりますので、事前に親戚の方などに確認しておくと良いでしょう。
4.送り火を焚く
お盆の入り(7月13日)になったら迎え火を焚きます。迎え火は、故人様の魂が迷わずご家族の元へ帰って来られるよう、目印として焚くものです。
5.法要
7月14日か15日に執り行うところが多いです。
6.送り火を焚く
お盆の明け(7月16日)には、故人様の魂を送り出す意味を込めて送り火を焚きます。
初盆のお布施の相場
お布施とは、法要や法事を執り行った際に、お経を読んでくださった僧侶にお礼の気持ちとしてお渡しするお金のことです。お渡しする相手は僧侶ですが、本来はご本尊様に対する感謝の気持ちを表したものとなります。
感謝の気持ちを表すのが「お布施」なので、お布施には定価というものが存在しません。包む金額に頭を悩ませる施主が多いのもそのためです。
お布施に定価はありませんが、相場というものはあり、初盆におけるお布施の相場は30,000~50,000円ほどとされています。通常のお盆の相場は5,000〜20,000円なので、初盆は少し高めの相場となっています。主な理由は、初盆がほかのお盆と比べて特別な意味を持ち、法要も大きな規模で執り行うためです。
しかし30,000~50,000円という金額は一般的な相場で、実際は寺院によって若干の変動があります。
お布施以外に「御車代」「御膳料」が必要になる場合もある
初盆では、お布施と別に「御車代」や「御膳料」が必要になる場合もあります。「御車代」とは、法要をお寺以外で行う際の僧侶の交通費費としてお渡しするものです。相場は5,000〜10,000円ほどとなっており、施主が直接迎えに行く場合やタクシーを手配した場合には包む必要はありません。
「御膳料」とは、法要後の会食代のことです。僧侶が会食に参列した場合は用意する必要はありませんが、会食を辞退された場合はおもてなしできない代わりとして「御膳料」を包みます。この相場は5,000〜20,000円ほどとなっています。
お布施袋の書き方・包み方
お布施袋には中袋と外袋がついています。それぞれの書き方にマナーがありますので、ここからはお布施袋のマナーについて詳しく見ていきましょう。
外袋の書き方
外袋の表書きには、一般的に「お布施」「御布施」と記入します。しかし、宗派によっては「御経料」「御回向料(ごえこうりょう)」と記載する場合もあるので、事前に確認しておきましょう。下段には、「◯◯家」または施主の名前を記載します。
中袋の書き方
中袋には施主のフルネーム、住所、金額を記載します。金額を記載する際は、旧字体(1→壱、3→参のような、いわゆる大字といわれる数字)を使用します。
お布施袋を包む手順
お布施は本来、奉書紙に包むのが正式なやり方ですが、現代ではあまり一般的な方法ではなくなってきています。ただ、正式な方法でお布施を包みたいという方は、以下の順でお札を包んでください。
1.半紙で中包みを作る。
半紙を少し斜めにした状態で、お札を置きます。上、下、左の順でお札を包むように半紙を折り、最後に右側を巻きつけるようにして折り込みます。
2.奉書紙で上包みする
奉書紙の中心より左寄りに中包みを置きます。左、右、下の順に中包みを包むように奉書紙を折り、最後に上の部分が下の折り目に重なるように折ります。
なお、上記の方法はあくまで厳格なマナーのうちの1つとなりますので、必ず上記のように包まなければならないというものではありません。
初盆のお布施の渡し方
お布施の渡し方にはしっかりとしたマナーが存在します。ここからは、お布施を渡すタイミングや、お布施の渡し方について解説していきます。
お布施を渡すタイミング
お布施を渡すタイミングは法要後、もしくは会食後になります。ただ、当日どうしてもバタバタしてしまい、渡すタイミングを逃しそうだと思った際は、法要が始まる前にお渡ししても問題ありません。
お布施を渡す流れ
お布施を渡す際、僧侶に直接手渡してはいけないというルールがあります。また、お布施は袱紗で包み、お渡しするタイミングで袱紗から出すのがマナーです。お布施を渡すときは、以下の流れに沿って実践してみてください。
1.お盆の上にお布施を載せる
2.お盆を自分の右横に置く
3.お礼を述べる
4.お盆ごとお布施を差し出す
また御車代や御膳料がある場合、下から御膳料、御車代、お布施という順になるようにお盆に乗せていきます。緊張して忘れてしまいそうになるかもしれませんが、お布施をお渡しする際は、読経や説法に対するお礼も一緒に伝えましょう。
お布施に関するマナー
お布施には、お渡しするとき以外にもさまざまなマナーが存在します。最後に、お布施に関する細かなマナーについて解説していきます。お布施をお渡しする際に失礼がないよう、マナーをしっかり覚えておくことが大切です。
不祝儀袋である必要はない
お布施を入れる封筒は不祝儀袋ではなく、一般の白い封筒で問題ありません。お布施はあくまで僧侶に対するお礼であり、香典のような不祝儀としてのルールは必要ないからです。よって、基本的にお布施には水引は不要です。
黒ずみを使っても問題ない
ご葬儀においては薄墨を使用するイメージがあるかもしれませんが、初盆のお布施には黒墨で記載します。ご葬儀で薄墨を用いる理由は、「突然の不幸で墨を磨る時間がなかった」「悲しみの涙で墨が薄まってしまった」という意味が込められているからです。しかし、初盆は前もって執り行われる日がわかっていることから、通常の黒墨で書いても問題ないといわれています。
二重封筒は避ける
初盆におけるお布施では、文房具屋さんなどで売っている普通の白い封筒を使用して問題ありません。しかし、中が二重になっている二重封筒は避けるようにしましょう。なぜなら、二重になっている=不幸が重なるという意味になってしまうからです。
まとめ
今回は、新盆におけるお布施のマナーについて解説しました。「初盆」は故人様が亡くなって初めて迎えるお盆のため、以降のお盆より丁寧に執り行われます。通常のお盆よりもお布施の相場が高くなっているのもそのためです。
あくまで気持ちとしてお渡しするのがお布施ではありますが、故人様のためにお経をあげてくださる僧侶に少しでも感謝の気持ちが伝えられるよう、お布施の金額について考えてみてください。
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