ご葬儀ではどのようなコートを着ればいいの?色や素材、丈などのマナーを徹底解説
節分を過ぎると立春となり、「春はそこまで」と考えるかもしれませんが、まだまだ肌寒い日もあります。そのようなときのご葬儀では、喪服の上にコートを着ることになるかと思いますが、ご葬儀の場ではどのようなコートを着用すれば良いのでしょうか。
今回は、ご葬儀に適したコートの色やデザイン、素材の選び方などについて解説していきます。男性・女性・子どもなど、性別・年齢別の注意点もご紹介しますので、併せて参考にしてみてください。
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ご葬儀用のコートはあるのか?
現在では、メンズファッション・レディースファッションともに、さまざまなデザインのコートが存在しています。行き先や目的によって、着用するコートの種類を変えている方も多いです。特に冠婚葬祭などの礼装が必要な場面においては、アウターも含めた身だしなみに配慮する必要があります。
ご葬儀専用のコートはない
ご葬儀に参列する際、必ず用意するもののひとつに「喪服」が挙げられます。しかし、喪服の上に羽織るコートには専用のものがありません。そのため、一般のアウターの中から、ご葬儀の場に適したものを用意する必要があります。
コートに関する明確なルール・ドレスコードはない
コートの場合、喪服とは違って明確なルールやドレスコードはありません。日本の場合、「室内ではコートを脱ぐのがマナー」といった文化が根付いており、各々がTPOに配慮してコートを選ばなければなりません。
礼装用コートがあればベスト
コートの中には「礼装用コート」と呼ばれるものがあります。これは、モーニングに合わせるための格式が高いコートで、冠婚葬祭すべての場面で着用できるオールマイティーなアウターです。
ご葬儀に着ていくコートに迷った場合は、礼装用コートを選択するのが無難です。ただし、略喪服や平服で参列する場合、コートだけが浮いてしまう可能性があるので、着用する喪服の種類によって適宜決めるようにしましょう。
ご葬儀に適しているコートとは?
ご葬儀に参列する際のコートとしては、ビジネスコートが最適です。清楚でかしこまった印象があり、ご葬儀の場には適しています。
反対に、あまりふさわしくないのは「カジュアルな印象を与えてしまうアウター」で、たとえばダウンコートやダッフルコート、トレンチコートやモッズコートなどが挙げられます。ほかにも、色や素材などで配慮が必要な部分が多いです。ここからは、ご葬儀に適しているコートのデザインや素材、選ぶ際に注意すべき点について解説していきますので、コート選びの前に大事なポイントを確認しておくようにしましょう。
色は光沢のない黒がおすすめ
コートの色は、喪服と同じく黒がおすすめです。ただし、黒であっても光沢があるものはふさわしくないため、できれば光沢がないものを選びましょう。このとき、同色で素材違いのストライプが入っているものも、できれば避けた方が良いです。
また、ボタンの色だけが違うものや、柄が入っているものは選ばない方が懸命です。特に、ボタンの色は見落としがちな部分なので注意しましょう。そして裏地に関しても、会場でコートを脱ぐ際に見られることを頭に入れ、なるべく暗めのものを選ぶのがマナーです。
黒のコートがない場合は、できるだけ濃く目立たない色に
黒色のコートがない場合は、黒に近い色のコートでも問題はありません。たとえば、濃紺やダークグレーなどです。
白やベージュなどは、清楚な印象を与えるので一見良さそうにも思えますが、ご葬儀の場にはふさわしくありません。「喪に服す」ために黒を着用するので、明るい色はワイシャツのみと覚えておきましょう。
素材はウールやカシミヤがおすすめ、毛皮はNG
コートを選ぶ際は、素材にも注意が必要です。仏教では殺生がタブーとされているため、毛皮のコートや、殺生を連想させる柄は着用できません。革製品・ムートンのほか、もしフェイクであっても、「連想」させる素材や柄なら着用は控えましょう。
素材としておすすめなのは、カシミヤやウールなど、自然素材で縫製されたコートです。保温効果も高いため、寒い冬の季節にも適しています。また、殺生を連想させる素材以外にも、ビニール・ナイロン・サテン・ジャージ素材はカジュアルな印象を与えてしまうため、着用を控えるのが無難です。
ひざまで丈のあるものを選ぶ
コートの長さが短すぎると、どうしてもカジュアルなイメージを与えてしまいます。特に、女性でスカートタイプの喪服を着用する場合、スカートのすそが隠れるくらいの丈のコートを選びましょう。男性も同様に、短すぎるのは好ましくないため一度丈の長さをチェックしておくと良いでしょう。
フードやファーがない、または外せるものを選ぶ
フードやファーのついているコートも避けた方が無難です。フードはカジュアルな印象を与えてしまいますし、ファーは殺生を連想させる可能性があります。
小さなお子さんや学生であれば許されるかもしれませんが、なるべくなら控えた方が無難です。ファーやフードが取り外せるコートであれば、事前に取ってからご葬儀に参列するようにしてください。またダウンジャケットも、「羽毛を使っている=殺生」と捉えられてしまう場合があるので注意が必要です。
喪服とマッチすることも重要
たとえ落ち着いた色合いのコートを選んでも、喪服にマッチしていなければ場違い感が生じてしまいます。着用した際のシルエットなどにも注意しつつ、どのようなコートを選ぶのか考えることも重要な要素です。
ご葬儀で着用するコートを選ぶ際の注意点
最後に、性別や年齢ごとに、ご葬儀で着用するコートを選ぶ際の注意点について解説していきます。基本的な部分は前述のとおりですが、若干異なる点があるので事前に押さえておきましょう。
女性のコート選びの注意点
女性の場合は、スカートとのバランスを考えましょう。具体的には、歩いたときにスカートのすそやひざが隠れる丈のものを選ぶといった具合です。なお、パンツスタイルの喪服であっても長めの丈のコートが望ましいです。
男性のコート選びの注意点
男性の場合、襟元まで隠れるデザインのコートを着用しましょう。これは、白いワイシャツを隠すためでもあります。また、動作時にシャカシャカと音を出す素材のコートも好ましくないため注意してください。
子どものコート選びの注意点
子どもの場合は、黒または黒に近い色のコートであれば基本的にどんなものを選んでも問題はありません。寒さによって体調を崩すことがないよう、マナーよりも防寒を優先させてあげましょう。
まとめ
ご葬儀に参列するとなった際、喪服のマナーに意識が向きがちですが、アウターへの配慮も大切です。黒や黒に近い色味のもので、カジュアルな印象を与えないデザインのコートを着用しましょう。また、殺生を連想させる革製品などは仏教的にタブーとされているので注意が必要です。
「突然の訃報で着ていくコートがない」といったトラブルが発生しないよう、事前に1着用意しておくと安心です。購入に迷った場合は、フォーマルな衣類を販売している専門店に相談することをおすすめします。
間違えのない葬儀社の選び方や注意点をはじめ、さまざまな葬儀の知識・マナーを分かりやすくお伝えします。